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『魔王に就職』
魔王の誘惑(※ナウラス視点)《5》
 
「あ、アズマ様? す、すみません、お許し下さい、……でも、私もどうしてよいか解らなくて……、もう充分気もいただきましたし」

 実際、これ以上もらったら、破裂しそうだ。

「そ、んな、俺はまだ……」

「……まだ、?」

「……な、何でも、ない」

 ふいと横を向いてしまった。
 ……多分、イキたいのだと思う。気を取るだけでイケるのかわからないが、これで性的快感を感じているなら、それを続けて行き着く先はそういうことになる。きっと、私が加減を忘れて急激に気をもらったあの時には、アズマ様も追い上げられて昇天してしまったのだろう。……今日は少し緩急をつけすぎて決定的な刺激がなかったので、イケないでいるのだ。
 ……意地悪と言われても無理はない。

「アズマ様……」

 今度は私が泣きそうだ。どこかで気を発散させてからまたアズマ様からもらおうか、……いや、そんな間があいたらもうアズマ様だって治まってしまっているだろう。

 ……まてよ、気を発散……

「……アズマ様、では……こういうのは、いかがですか?」

 今までやったことがないので実験的だが、私はもらった気をアズマ様に返してみることにした。気の流れを感じて快感を得ているのなら、吸い取られるだけでなく、取り込むときにも同じなのではないかと思ったのである。

「……? ぁ、な、何……?」

 ピクン、と震える身体を、再びしっかりと包み込む。

「……っ! あっ……何これ、さっきと違……」

 逆流した気の動きに、戸惑うアズマ様。嫌な感じではないことは、声のトーンや表情で何となくわかったので、遠慮なく送り続ける。

「あっ…は、ぁあっ…、ん…っ、凄いっ」

 相変わらず、クる声。

「あっ、……ヤダ、あっ、アッ」

 触れていないが、腰が揺れているのをベッドの動きで感じた。触ってあげたいがそうもいかない。代わりに気の動きを激しくする。……吸い取るのと返すのを交互にやったらどうだろう。

「ひぁ……ァ…あ、ぁあ、んっ、ゃ…ぁ、コレ、変っ…ン、ぁあ」

 どうやらいいらしい。

「あぁっ、ナウラスっ……ぁっ」

 貴方の乱れる姿をもっと見ていたいが、私ももう限界。本当にもう退散しなければ。

 気をたっぷり返した後、思いきり吸い上げ、ラストスパートをかける。

「あっ、ゃあァアッ……!!」

・・・・

 アズマ様はそのまま意識を手放してしまった。呼吸は安らかなのでお身体に異常はないと思うが、……というか異常をきたしているのは私の方で。少し落ち着いてからではないと、ちゃんと立てそうにない。
 ベッドの脇に腰掛けながらやり過ごそうとするが、貴方の寝顔を見てムラムラとしてしまう悪循環。

 まったく、罪なお方だ。

 私に火を点けたペナルティとして、その可愛い寝顔にキスぐらいは許して下さいね?

 起こさないように気をつけながら、そっと額にくちづけた。


<END>

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