『魔王に就職』
魔王の誘惑(※ナウラス視点)《4》
「はぁ……っふぁ……ナウラス、こんな、ヤダ、前みたいにギュッてして」
もうあまり力の入らないであろう腕を伸ばし、首に巻き付いてきた。
お望みどおり、ギュッと強く抱きしめてやる。
「あっあ……っ」
激しい気の動きがその身に快感なんだろう、アズマ様の口から悩ましい声が漏れる。
「……あ…ぁ、…ぇ…ゃ……ナウラス?」
「……この方が、アズマ様も楽でしょう」
抱きしめたままついベッドへ押し倒してしまった言い訳は、上手く言えていただろうか。
どこかトロンとした顔のアズマ様に上半身をゆっくりと重ねるように、私もベッドへ沈んだ。
「ぁ……ナウ、ラス……」
耳元で切ない声で名前を呼ばれ、いけない気持ちになる。
「アズマ様……」
これは、マズイ。シャレにならない。さっさと気を移して退散しなければ。
今日は優しくする、という宣言は、むなしいものとなった。
「あっ、あっ…ゃ…ぁッ」
急に速度を上げた気の移動に、アズマ様の身体がビクビクと反応する。
「ナウラス、ぁっ、んっ……もっと、もっとしてっ」
吐息まじりに、そんなことを言うものだから、堪えられず首筋に唇を這わせてしまった。
「ゃ……、ぁ…、んっ」
これは堪らない。
「アズマ様……っ」
「あっ……ふぁ…ァ、ゃっ、んん……ッ」
そのままあごをつたって、反対側の耳にたどりつく。……これが本物の性行為だったら舐めたり噛んだりしてアズマ様をもっと感じさせてあげたいが、そこまでしてしまえば私がそういう意識でやっていることが完全にばれてしまうだろう。だから唇だけで、滑らすようにゆるりと愛撫。
「はぁ……アズマ様……ありがとうございます、もうお腹いっぱいです……」
元々飢えてはいなかったので、本当にもう入らない。それにこの辺でやめないと、私が止まらなくなる。
「ゃ…ぁっ……だ、ダメ、やめないで……、…ッ、最後、まで……」
弓なりに反ったまま、いやいやと首を降る姿が悩ましい。
しかし、最後まで、とはどういうことだろう。
「やめるなと言われても、これ以上はもう……」
「……何か、今日…ッ、ナウラス意地悪……」
あ、嘘。泣かせてしまった。
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