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『魔王に就職』
魔王様、人間。(※ドゥーガ視点)《6》
 
「……魔物は……、……魔物は、人間の敵で、怖くて、人間をたくさん殺すから、やっつけなきゃいけない……」

 あ、怖いこと、言ってる。ビックリ。……どうしよう。

「……って、父上が教えてくれたのに……何でだ?」

 大きい子どもの人間、ドゥーガを、見てる。

「何で、お前、俺たちのこと殺さないの?」

 ……何で、殺さない?
 えーと……。
……殺したら、痛い。ドゥーガ、痛いの、イヤ。
 だから、殺さない。

「何でカイリの毒、治してくれた?」

 毒も、痛い。ドゥーガ、痛いの、イヤ。痛いの、かわいそう。
 ……だから、治す。

「なぁ、マジで俺たちのこと、入り口まで連れてってくれるわけ?
 何それ? 何で魔物のくせに、そんなことすんの? 何で人間に優しくしてんの? 魔物って、もっと怖いんじゃないのか?」

 ……大きい子どもの人間、たくさん質問、難しい。えーと……、えーと……。

「……ドゥーガ、痛いの、イヤ。怖いは、嫌い。優しいは、好き」
 
 大きい子どもの人間、変な顔、した。
 そして、「……お前、変な魔物」、って言って、泣いてた子どもの人間、ドゥーガの手のひらにのせた。それから、自分も一緒に手のひらにのって、怒った顔、してた。
 でも、怒った顔、さっきの怒った顔と、違う。全然、怖くなかった。


「……あれ、あいつら……誰もいないでやんの」

 ドゥーガ、洞窟の入り口に、大きい子どもの人間と、泣いてた子どもの人間、置いた。たくさんいた子どもの人間たち、いなくなってた。

「ったく、待ってるって言ったくせに……逃げやがったな」

 大きい子どもの人間、子どもの人間なのに、大人の人間みたいに、「はーっ」って、ため息、した。

「……逃げた、違う。子どもの人間たち、さっき、大人の人間、呼びに行った」

 大きい子どもの人間、出てこないから、心配して、さっき、村に、大人の人間、呼びに行った。

「そろそろ、大人の人間たち、連れてくる。ドゥーガ、怖いから、帰る」

 ドゥーガ、大人の人間たち来たら、多分、いっぱい叩かれる。怖いから、大人の人間たち来る前に、洞窟の中に、帰る。大人の人間たち、大きい子どもの人間と、泣いてた子どもの人間、探しに来る。2人、洞窟の入り口にいるから、大人の人間たち、洞窟の中には入ってこない。洞窟の中、大丈夫。安心。

「あ……、……」

 大きい子どもの人間、ドゥーガに何か言いたそう。でも、大人の人間たち来たら怖いから、早く帰る。ゴメン。

 ドゥーガ、洞窟の中に戻ってから、大人の人間たち、たくさん来た。2人見つけて、村に帰っていった。洞窟の中には、入ってこなかった。よかった。

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