『魔王に就職』 魔王様、人間。(※ドゥーガ視点)《3》 「ほらみろ、ムリじゃないか。やっぱりうそつきだー」 「う、うそじゃない! ……は、はっ入れるよ、1人で! だって僕は勇者になるんだもん!」 「泣き虫カイリにはムーリー」 「ムリじゃないもん! うぅ〜……、は、入れるんだからね、見ててよ!」 泣いてる子どもの人間、鼻をスンスンさせて、洞窟に入った。足がガクガク震えてる。震えてるけど、ゆっくり、どんどん進む。入り口に友達が待って見ているから、この前より、ちょっと、奥に入って来れた。 頑張れ。 うそつきじゃないのに、うそつきって言われてかわいそうだったから、何だか、応援したくなる。 泣いてた子どもの人間、ビクビクしながら、頑張って、入り口から10メートルくらい中に入った。そして、後ろを振り返って、友達に、声、かけた。 「ほ、ほらねー? 1人で入ったよー!!」 洞窟の中で大きい声出すと、響く。泣いてた子どもの人間の声にビックリして、洞窟のコウモリや小魔物が騒ぎ出した。 「キィーキィー!」「ギィギィ!」 「キィキィ!」 「ギィー!」「キィーキィー!」 「うわああああ!!」 コウモリ、バサバサと群れで、洞窟内を飛び回る。何匹かは、洞窟の外にも飛び出したみたい。 「うわーー!!」「キャー!!」 外にいた子どもの人間たちもパニック。 「きゃーー! やだーもう帰ろうよー!」 「カ、カイリー! 早く戻ってこいよー!」 ……。 「カイリ……? もういいから出てきて……、……あれ?」 「おーい、カイリー」 ……泣いてた子どもの人間、コウモリにビックリして、逃げようとして、洞窟の、もっと奥に入ってきてた。 「うわー! うわー! 助けてー怖いよー!」 「キィキィ!キィキィ!」 「キィーキィー!」 「ギィー!ギィー!」 「いやあーーー!!!!」 泣きながら、前も見ないで走ったら、洞窟の中、危ない。 ドゥーガ、心配で、ドキドキした。 「カイリ、出てこないよ……?」 「どうしよう……」 「助けにいかなきゃ」 「でも、きもだめしの時より奥に行って見えなくなっちゃったよ、カイリ? 俺、あんなところまで行けないよ……」 「ねぇ、ガルシア呼んでこようよー、きもだめしもガルシアがいるときが1番長く行けるじゃん」 「そ、そうだね、ガルシア呼びに行こう!」 洞窟の外にいた子どもの人間たち、村に帰ったみたい。 どうしよう、泣いてた子どもの人間、置いてけぼり。 「きゃあああああ!!!」 あっ。 泣いてた子どもの人間、洞窟の中、前見ないで走ってたから、すべって転んだ。 「痛ぁい……うええええん」 ゴツゴツの岩に、頭、ぶつけたみたい。おでこから、血、出てる。痛そう。 「痛いよー、怖いよー、ぅわぁぁん」 ……どうしよう。かわいそう。 ドゥーガ、洞窟の外に、泣いてる子どもの人間、連れて行こう。ちょっと怖いけど、このまま泣いてるの、かわいそう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |