『魔王に就職』
魔王様、人間。(※ドゥーガ視点)《1》
今の魔王様は、人間。
ドゥーガは、人間、怖い。
だからドゥーガ、人間の魔王様、最初、嬉しくなかった。
「俺は絶対、反対だ」
ナウラス様が、新しい魔王様探しに行った時、エンダリオが怒ってた。
「人間に魔王の座を渡すなんて……」
「それはそうだけど、仮魔王立てるなら、やっぱりそれが1番いいのかもしれない、と思うわ」
リッゼは、ナウラス様の意見に賛成。
「人間なんか連れて来たら、絶対面倒なことになる。そもそも、卵が孵るまでなら、何も余所から迎えなくても、ナウラス様でも、あんたらでもいいじゃないか」
「……ナウラス様が魔王になったら、本人にその気がなくても仮では済まなくなるでしょ……。北の分領地はマスカが居ないと治められないし、私の所も似たようなものね。南も好戦的な国が近くにあるから長らくは開けられないし。……まぁ、もしこの中からって言うなら、貴方がなるしかないわよ」
リッゼが、エンダリオをあごで指す。
「……俺はナウラス様の下でしか働かない。仮だとしても、ナウラス様を差し置いて玉座には座れない」
「ワガママちゃんねぇ。だったらやっぱり、ナウラス様に従って、快く人間魔王を迎えましょうよ」
……エンダリオ、まだ納得していないみたい。ムスッとしてる。
「まーまー、西の人間は結構したたかな感じの人たちが多いから、エンダリオの気持ちも解らなくはないけどさー。人間にも色々いるんだし。どんな人連れてくるか判んないけど、ここはナウラス様を信じようよ?」
マスカは、もともと人間が大好きだから、最初からナウラス様に賛成。
「ね、ドゥーガ?」
マスカ、ドゥーガに振り向いて、首をチョンと横に傾けた。
「う、うん。ナウラス様、信じる、賛成」
……。
エンダリオに軽くにらまれた。怖い……。
……本当は、ドゥーガも、人間が魔王様になるの、怖いから、嫌。それに、魔王様、人間だと、他の魔物たち、怒らないか、心配。……本当は、ドゥーガ、あんまり賛成じゃない……。多分、エンダリオ、そのこと知ってる。だから、反対の仲間と思ってたドゥーガ賛成したから、エンダリオ裏切られたと思って、にらんだ。
……ゴメン。
でも、他のいい考え、ドゥーガわからないから、ナウラス様、信じる。
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