物語 ・・ 知られていた。 一生片恋で構わないと思っていた、この感情を。 「ヴォルフラム…」 「ふぇっ…」 耳元。低い声が、直に響いて。 「特別治療、してやろう」 そのまま舌が耳をやわりと舐める。 ゾクゾクと背筋に震えが走った。 「コンラー……ひぁっ!!」 クルリ、両方の乳首を硬い指先に回されて、思いがけない声が出る。 「敏感だな」 微笑とともに囁かれて、恥ずかしさにきゅっと目を瞑った。 つ…と右の指先が今度は身体を滑っていく。下へ、下へ、ゆっくりと焦らすように。 腹まで下ろされていた夜着に引っかかる。それでも構わずに指は動いていった。 「ぁ…」 抵抗も出来ずに、ただ慄える。 下着をもう片方の手が剥ぎ取った。 ついに指がそこに触れる。同時に、鎖骨を強く吸われた。 「きゃっ…あぅっ!」 ピクンと身体が跳ねる。一瞬の、どうしようもなくもどかしい快感。 「もうこんなにして…いやらしいな」 「ッ…!」 先走る蜜を、指先が掬った。 ――欲しくて欲しくてたまらなくなる。 「コンラー…ト、イキた…けほっ、こほっ…」 意識が朦朧としてくる。酷い渇きだけが頭を支配して。 「辛そうだな…。やっぱり一回しか無理か」 くん、と違和感が走った。 蕾をこじ開けられる感覚に、気持ち悪さが勝る。 「やあっ…」 「大丈夫。すぐによくしてあげるから…」 そうして、キスされた。 舌が忍び込んできて、慣れない深いものへ変わる。 それでも不思議と安心してきた。 朦朧とする意識とは裏腹に、五感は研ぎ澄まされてゆく。 「…んぁっ!」 「……見つけた」 コンラートの指が擦った場所。 身の内側から、強い快感が昇ってくる。 [前へ][次へ] [戻る] |