夕日の教室で
修学旅行6★
「…り、…く?…そのー…そんなに見えなかったって……。な?」
「……。」
陸は自分の裸を祐に見られて、相当大きなショックを受けたらしく、祐から1番遠く離れた場所で膝を抱えて動かなくなってしまった。
「陸…ごめん…」
「「………。」」
祐のその一言をさかいに、2人とも口を開こうとしない。
「……祐……」
陸が顔を赤らめながらも、数分の間見ていなかった祐の方へと体を向けた。
「―…っ祐!?」
「…っ……ッ……」
「な、なんで…ぇええ!?」
陸が見た祐は、水面を向いているが微かに肩が震えていた。
「ゆ…ぅ……。ごめんっ!!!!」
―ザバザバッ…!!
陸がタオルなどお構い無に祐の元へと走った。
「祐っ…!」
「り、く…ッ…ごめん…」
―ギュッ…
陸が祐を正面から抱きしめる。
「俺の方こそ、ごめん!…その…祐に見られて、恥ずかしかったんだ…っ…」
「陸…ははっ。俺かっこ悪ぃーな…」
「祐……」
―…ちゅっ…
「………陸の唇熱いっ」
「祐も熱いっ…」
それから2人は笑いあって何度か唇を重ねあった。
「…っ…ぁ……ッ!…祐…ん…ッ」
陸の蕾に祐の細くて綺麗な手が伸びる。
「陸…ッ…」
「…ぁ…んん…ッ!」
「陸ー!波本ー!」
「「……え…?」」
脱衣室の方から、同部屋のクラスメイトの声が聞こえた。
「り、陸…っ!!俺の後ろに隠れて!」
「え、ぇえっ!?」
―ガラッ…!
「なかなか帰ってこないからのぼせてるのかと思って来たんだけど…大丈夫そうだなっ」
「うん。今行くよ」
***
―脱衣室…
「祐、何であの時俺を隠したの?」
旅館の浴衣に着替えている時、
陸はあの瞬間からずっと不思議に思っていた事を祐に聞いてみた。
「…だって…陸の裸とか、赤い顔とか見られたくない、じゃん?」
「…ぇ…?」
祐の顔が赤くなっていく。
「か、帰ろうッ!みんな待ってる!」
「ぇええ!?…祐!待ってよ!!」
***
それから2人はクラスのみんなと少し遅れた夕飯を食べ、昨日寝た部屋へと戻っていった。
―陸達の部屋…
「あぁー!今日はなんか泳ぎ疲れたなぁー…」
「今日はもう寝るかー?明日早いし…」
「ふぁあー…そうしよう…」
同部屋のクラスメイト達は口々にそう言い、今日はもう部屋の明かりを消すことになった。
***
「くぅー…」
「んんー…ぐぅうー…」
みんなが寝息をたて、気持ち良さそうに寝ている中、陸は1人眠れずに悩んでいた。
「(…どうしよう!?眠れないよっ!)」
陸が眠れないのには、昼間クラスメイト達のように泳いでいないというのもあるが、もう1つ理由があった…。
「(祐に風呂で触られたところが…熱い…ッ!!)」
そう、好きな人に自分の体を触られて、しかもその本人が自分の横で寝ていると思うと、なかなか眠れないのだ。
「(…ぅう……どうしよう…)」
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