夕日の教室で
修学旅行4
「えと…そ、のー…」
陸と祐は離れたものの、龍の視線に捕まえられていた。
「…り、陸…?」
「龍……ご、誤解なんだ…っ」
陸が話せば話すほど、龍の顔色が曇る。
「俺が怪我したから、肩貸してもらおうとしてただけだよ」
「…えっ……?」
今まで黙っていた祐が声をだした。
「俺、石につまずいちゃってさ…。だから陸に肩貸して貰おうとしたんだけど、俺の方が背高くて苦戦してて…」
「陸、そ…そうなのかっ…?」
「え…!…そ、そうに決まってるじゃんっ!」
龍の視線が、祐の左腕に移る。
「な、波本っ!!!う、腕…!…血がっ…!」
「…え、…あぁ。…たいした事無いよ?」
「そ、そんなわけ無いじゃんっ!!」
龍の頭がパニックを起こし始めた。
「あっ!そ、そうだよ祐!腕、手当てしないと…っ」
「陸まで…。本当、たいした事無いって」
それから陸と龍は無理矢理祐をホテルまで運んで、3人でクラスのみんなが帰ってくるのをロビーで待った。
***
陸・祐達の部屋…―
「ゆ、祐…。もう大丈夫…?」
「うん。もう平気だよ。…それより、ごめんな?結局泳げ無くなっちゃって…」
あれから保健担当の先生が祐の腕の手当てをしてくれて、祐は「もう平気です。泳げます」と言ったが、保健担当の先生は「こんな怪我で塩水につかっては絶対だめよ!!」と猛反対をしたのだ。
「…そんなの…結局、俺のせいで祐が怪我しちゃって…」
「陸っ」
―ギュッ…
「…ふぇ…っ…?」
祐の腕が陸の背中に回る。
「陸が怪我しなかったんなら、それで俺は嬉しい」
「ゆ、祐…ッ…///」
―ドキドキッ…
「(う、うわぁああ!!///どどうしよう!?胸が…ドキドキして…)」
「陸はさ、俺の事どう思ってるの?」
祐が陸の背中から手を離し、正面から聞いてくる。
「俺は陸と初めて同じクラスになって、良かったと思ってる」
「ゆ、祐…?どどうしたの?急に…そんな事…」
「…。」
しばらくの沈黙ののち、祐が静かに口を開いた。
「俺は…きっと…、陸の事が……」
―ガラッ!!
「波本ー!!腕怪我したんだって!?大丈夫かよー」
「波本、腕見せてみ?」
同部屋の男子たちが早めの風呂から帰ってきた。
「うん、もう大丈夫。陸、俺たちも風呂行こうぜ?」
「えっ…?…う、うん…」
それから陸と祐は、昨日の大浴場へと1言も話さずに歩いて行った。
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