夕日の教室で
修学旅行3
***
―翌朝…
「陸、おはよう」
「おっ、おはよっ!」
修学旅行2日目、陸達のクラスは海へ泳ぎに行く事になっていた。
朝から生徒達は水着を用意したり、持参してきたビーチボールなどを鞄に詰め込むなど、大忙しだ。
ところが1番楽しみにしていた陸は、部屋の隅でぼーとしていた。
昨日からの胸の高鳴りに、悩まされていたのだ。
「(俺…やっぱ何かおかしい…。祐の顔見ると、心臓が熱い…)」
「陸ー!波本ー!遅れるぞー」
同じ部屋の生徒が2人に呼びかける。
「ん、今行く!…陸、行こう?」
「…うん」
―ドキッ…
「(やっぱり…変だ…)」
***
―海…
「海だぁああー!!」
「陸はしゃぎすぎ」
「…だってぇー…海来るの久しぶりだしー」
あれほど悩んでいた陸だったが、待ちに待った海へ実際来てみると、ワクワク感が込み上げてきた。
「陸、子供みたい」
「んなっ!!…高校生ですー」
陸が頬を膨らませる。
「陸、可愛いなっ」
「―っ!?///」
祐がまた笑顔を見せる。
「さっ、泳ごう?」
祐が陸に手を差し出した。
「(祐何を言い出すんだ!?///)」
―ドキドキドキ…
「…えとっ…そのー…あのっ…」
―ガクッ…!!
「―ぇっ…あっ…!」
陸の足が海岸の石に引っかかり、陸の体が宙を舞う…
「(やばっ…怪我するっ!!)」
―ドサッ…!
「―っ…ぇ?」
「陸、大丈夫!?」
「―っふぇっ!?///」
陸が目を開くと、そこには祐のドアップが目の前にあった。
「な、なななっ!?///ぇえええ!?」
陸が混乱して祐の体の上で暴れる。
「―っ…」
「…祐?」
よく見ると、祐の左腕から血が滲んでいる。
「祐っ!?左腕っ…あ、…俺のっ…せい…」
そう思った瞬間、陸の頬を涙が伝った。
―ポロッ…
「ごめっ…俺…ドジで…っ」
陸の溢れ出した涙は、止まる気配を見せない。
―ギュッ…
「何で泣くの?」
祐が自分の上からどいた陸を右腕で抱きしめる。
「全然痛くないから。それより陸、怪我してない?」
絶対痛いはずなのに、祐は笑顔を見せた。
「(…なんでっ…祐は…俺なんかに、…こんなに…優しい…んだ?)」
顔が赤くなり、熱を増す感覚がした。
「け、怪我してないっ…けど、祐、腕が…」
「平気。さっ、泳ごう?」
「でもっ、腕…」
「りぃーくぅー!なみもとぉー!」
少し離れた所から龍が能天気に手を振りながら走ってきた。
「…って…ぇええ!?」
しかし、2人の近くに来た所で龍が急に足を止めた。
「なんで…抱き合ってる…の…ですか?」
「「…えっ…?」」
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