フラベル
恋人疑惑
最近、堕王子のベル先輩に、「恋人がいると」いう噂が広まっています…―
***
「じゃあ、俺散歩してくるから。」
そう言うと、ベル先輩は今日も1人でどこかへ行ってしまいました。
いつも動くのが面倒とか言って、部屋にこもりっぱなしだったベル先輩が。
「……まさか、本当に恋人がいるんじゃ…」
ベル先輩の好みって、どんなだろう?
ミーにこんなカエル被せる位だから、
きっと幼い顔した笑顔が可愛いような子なんだろう。
「…あれ?…なんか、つまらない…」
そっか!
ベル先輩が、生意気にも誰かと付き合っているからだ!
ミーも今誰とも付き合ってないのに、あの堕王子が誰かと付き合っているから面白くないんだ。
「…きっと堕王子の趣味だから、変な顔なんだろう…。」
よしっ。
変な顔の彼女の写真撮って、みんなにばらまいてやろう。
***
ミーが堕王子を追いかけて基地をでてから堕王子を発見するまでに、30分もかからなかった。
だって、堕王子はミーと昔よく来ていたカフェに、女の人といたのだから…。
***
一緒にいた女の人は、想像していたよりずっとずっと綺麗で、大人っぽかった。
皮肉にもミーより背の高い、馬鹿の金髪王子と似合っていた。
「…結局写真も撮れなかったですー。」
あーあ、つまらない。
―ガチャッ
「カエル。」
あ、噂をすれば…。
「ベル先輩、趣味悪いんですねー」
「は…?」
椅子に座ったまま、目も合わせずに言ってやった。
「あんな茶髪のどこがいいんですかー?化粧濃いし、服装もやたら露出してるし。」
なぜだろう?
自分の言っていることが、さっき思っていた事とまるで違うじゃないか。
「それに、あの気持悪い笑顔。悪趣味にも程がありますー。」
ちらっと王子の方を見ると、王子は困った顔で、笑っていた。
「…そっか。」
それだけ言うと、ベル先輩は部屋を出て行った…。
「…いったい何の用だったんですか?」
あぁ、つまらない。
***
…本当は、あの女の人に嫉妬していた。
あんな自然に笑える事に…。
あんな自然にベル先輩と隣にいておかしくない事に…。
あんな自然に素直に気持ちを伝えられる事に…。
「あーあ。気づきたくなかったのになぁー…。」
このもやもやは、ベル先輩のことが好きだから。
いつも心の奥に閉まっていた本当の気持ち。
「でも、もう駄目ですねー。」
あの女の人は、背が低くて毒舌で生意気な自分よりも、
何倍もベル先輩と似合っていた。
―…ガチャ
また静かに扉が開く。
「……カエル、泣いてんの?」
1番見られたくなかった人登場…って感じですねー。
「あのさ、俺…好きなんだけど。」
のろけですか。
「…なぁ、好きな……っんん!?」
「……のろけとかムカつくんで、キスしてやりましたー。」
これで本当に、終わった。
「―…ッ…//////」
と思ったのに、
「なんで顔真っ赤なんですか?」
「だ、だってッ…!…お前が、キス…するからっ///」
「…相変わらず、意味不明ですー。」
「だ、だから…ッ!!!!!
お、俺は…お前が、好きなんだって…」
へ?
「お前、何か勘違いしてるみたいだけど、昨日一緒にいたヤツは、ただの知り合いだから」
「……何の?」
「俺のミンクが気に入ったんだと。で、ちょっと話がしてみたいって言われてて、今まで断ってたんだけど、どうしてもって言うから…」
…なーんだ。
そっか。
やっぱり。
「やっぱり、堕王子にはあんな美人似合いませんもんねー。」
「は?さっき散々ボロクソ言ってたじゃんっ」
「忘れましたー」
なーんだ。
やっぱりベル先輩には、ミーみたいな生意気がお似合いなんですね。
「ベル先輩、さっきの返事ですけどー。」
「……。」
「もう1回キスさせてくれたら教えますー」
「///なっ!?」
―ちゅっ。
ベル先輩、大好きですよー。
*end*
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