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フラベル
2010ベル誕★



朝目が覚めると、隣にカエルがいなかった。











***



「スクアーロ〜、」


「よぉ、ベル。今日は遅かったんだなぁ。」


「んー…、ちょっと疲れた。それよりさ、カエル知らね?見かけないんだけど。」

いつも目が覚めると俺を抱きまくらの様にして寝ている(ふりをしている)フランが、何故か今日はいなかった。

気まぐれで朝食を食べに行ったのかとも思ったが、いつも朝食をとる部屋にはスクアーロと二人分の朝食しかなかった。



「フランならまだ来てないぞぉ?珍しいな、ベルと一緒じゃないって。」


「そっか…。」




朝食が二人分あるという事は、まだフランも朝食を食べてないらしい。


久しぶりの二人揃っての休みに、朝食もとらずに出掛けるなんて珍しすぎる。

(いや、別に二人揃ってっていうのを俺が楽しみにしてたわけじゃないぞ?だって俺、王子だしなっ!)






***



午前11時。
フランの部屋。

部屋の主はまだ帰って来ない。





「…………。」



いつも着ている隊服とカエルの帽子が無いという事は、やはりどこかに出掛けているらしい。





『…―ベル先輩、明日二人揃って休みですね。』


昨日の夜、いつもの様に任務から帰って来ると、帰って来た早々フランが俺を抱き寄せて耳元で囁いた言葉を思い出す。





「―……ッ!て、何俺へこんでんのっ!?!?」


柄にも無い自分になってしまうのも、いつもはうっとうしい程くっついてくるカエルが居ないせいだ。



「…何やってんだよ…、アイツ…、」





この部屋で主を待っているのも馬鹿馬鹿しくなってきて、ベッドから重い腰を上げた。






…―ガチャ、


「――…!!」











「あんらぁ〜?ベルちゃんしかいないの?」


不覚にも今まで音をたてなかった扉が開き、何かを期待してしまった。




「おかしいわねぇ、フランちゃんから頼んできたのに。」


「―!あ、アイツに何か頼まれたのかっ!?」




ルッスーリアが似合わないピンクのエプロンを付けて、腰をゆらゆらさせながら話し始めた。




「あら、ベルちゃん知らないの?フランちゃんが朝早くから食堂で何かしててね、声をかけたの。そしたら砂糖を探してたみたいだったから、夕飯の買い物と一緒に砂糖を買ってきたんだけどー、」


「砂糖……?」


「何か作るのかしらね?珍しいわぁ。あの子が誰かの為に何かをするなんてっ。」






『…誰かの為に』



その言葉が頭で何度もこだまする。



誰の為に…?






『ベル先輩、ちょっと部屋出てくれませんか?』

『はっ?なんで……』

『いいからいいからー』

『ちょッ、おいッ!!!』





二日前位だろうか。

その辺りからフランの様子がおかしかった気がする。






『ミーはノンケですよー。』




好きな人が出来た、とか?





何故フランが俺を恋人にしたかは未だによく分からないが、本人曰くノンケであって、男には興味がないらしい。


それを聞いたのが情事の後だった事もあって聞き流していたが、今考えるとあれは本当だったのかもしれない。


そうすると、俺と付き合っているのはただの気まぐれや暇潰しであって、本命は別にいるのではないかと考えてしまう自分がいる。







「帰ってきたら、お砂糖買ってきておいたって伝えてくれる?」


「……ん、分かった。」





返事はしたものの、今日はフランと会いたくないな…。


向こうは遊びかもしれないけど、俺は……、俺は、








***




「ベルせんぱーい?」



すっかり太陽が西の空に沈んだ頃、俺の寝室の扉が開いた。






「先輩、もう寝ちゃったんですかー?早過ぎますよー。おーい。」




フランが俺の寝ている布団を上から叩く。




「寝る子は育つっていいますけどー、ベル先輩それ以上前髪伸ばしてどうする気ですか?もう一層口まで隠す気ですか?」


「………うっさい、」




俺の事を散々遊んどいて、更に毒舌まで吐く気らしい。


あれから俺はずっとベッドの中にいた。


今は寝たいはずなのに、フランの事が頭から離れなくて眠れなかった。




「先輩、」


「…っやめろ、」




フランがガバッと布団をめくると、俺の寝ているベッドへ入って来た。





「何怒ってるんですか?」


「…怒ってねーし。」


「嘘だー」


「うっさい…」






…―グイッ!




「…――!?、んンンッ、はぁ…や、め…」


引っ張られたかと思ったら、無理矢理キスをされた。
(しかもディープ)





「……っやめ、ろ…!ん、…ッなんで、遊び…はぁ…だろ…ッ!?」




ピタッ。



「……はぁ、はぁ…ッ」


「先輩、遊びってなんですか?」




キスを止め、俺の体から手を離す。




「……ッ、だか、ら…お前、遊び…だろっ…?」






…――グイッ!!





「――!?はっ…!?ちょ、」


「許しませんから。」


「……ッあ…!」




急に雰囲気がガラッと変わったフランが、俺の服に手を入れてきた。




「…なに、す…!」

「遊びなんて、許しませんからね。」



こいつ、何か勘違いしてね?




「ミーは本気ですから。先輩だけ遊びだったなんて、そんなの…」




服の中の手を止め、俯き気味にそうフランが呟く。





「…そんなの、酷い。」





微かに肩が奮え、声も聞き取りにくい。


こんなフラン、見たことが無い。





「…おい、お前なんか勘違いしてね?遊びなのはお前だろ?」


「は?何言ってるんですか?ミーが遊びで男の穴に入れるとでも思ってるんですか?前言いましたよね?ミーがノンケって。」




先程とは違って、今度は初めてフランが感情的になった姿を見た。





「……じゃあ、何で俺と」


「ベル先輩だから。」


「…――ッ!?」


「ベル先輩が好きで好きで、自分じゃどうしようもなくて、」





フランの腕が俺の腰と頭に回る。




「ベル先輩が男だって知ってるし、こんなにも一人を思った事が無いから自分でも驚いてるんですよ、」





―…ちゅ、





「…じゃあ、砂糖探してたっていうのは…」


「今日はベル先輩の誕生日じゃないですか。」


「…えっ、」






壁にかかったカレンダーへ視線を向ける。




…―12月22日






「………あ、」


「はっぴーばーすでい、ベル先輩。」










それからは夜明けまでずっとベッドの上で、二人で抱き合ったりキスをした。



途中でスクアーロが夕飯だと呼びに来たが無視をした。







「ベル先輩、ケーキ作ったんですよ。」


「は…!?カエルが!?」


「うわー、グサッときましたー」





フランは見た目に似合わず、苺の乗った美味しそうなショートケーキを作ってくれた。


味もその辺のケーキ屋よりも下手したら美味しいんじゃないかと思う程の出来だった。






「来年も作ってあげますよ。」





-*HAPPY BIRTHDAY!*-



*end*


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あきゅろす。
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