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フラベル
距離

何か最近、ミー思うんですけどー…


ベル先輩ミーを少し…、避けてません?





「堕王子ー、暇なので新しくできたパン屋行きませんか?」


椅子に座り、何かファッション雑誌のような物を見ていたベル先輩に呟いた。



「―…っ!……王子、パンなんて食べねーしっ…」


あからさまに動揺している声だ。



「この前食べてたじゃないですかー」

「し、知らねっ!1人で行け!カエル」


そう言ってベル先輩は、1人部屋を出て行ってしまった。



「……。」


最近やっと少し距離が縮まったかと思っていたが、どうやらその逆だったみたいだ…。

ミーはこんなに思っているのに、本人はミーを気にかけるどころか、自分から距離を測ろうとしてきた。



「これならまだ、最初の頃の方が良かったですー…」



顔を合わせれば毒舌を吐き、ナイフを投げられの繰り返し。
そして、最終的には2人で廊下を走り回って怒られて…。

そんな日々の中、本当に最初はいつか殺してやろうと思っていた。
だけど、いつのまにかその気持ちは『ベル先輩が好き』という気持ちに変わっていったのだ。



ベル先輩が、いくら任務だからと言って、他の人と話しているといつも以上に苛立った。

ベル先輩が失敗すると、何故かどんな事でもかわいいと思ってしまう。
(顔にはださないし、当然本人の前ではおもいっきり笑ってやる。冷たい目線で)

ベル先輩がたまに優しくしてくれると、その日1日が楽しくなる。



いつからだろう…?
ベル先輩がいないとダメだと思ってしまうようになったのは。




フランは頭のベルがくれたカエル帽子の位置を直し、窓から入ってくる風に揺れるカーテンを手で掴んでみた。





「…ベル先輩が、ミーの物になったらいいのに…」














―ガシャンッ!!!!!



「―っ!?」





その刹那、ベル先輩が出て行った扉の方で何かを落とす音がした。






「…ベル先輩…?」






ミーがカーテンから手を離し、扉の方に体ごと向けると、そこには顔を真っ赤にして固まっているベル先輩が居た。

その下の床には、淹れたてであろう紅茶がティーカップごと落ちており、赤い絨毯に茶色い染みを作っていた。





今まで椅子に座っていたミーは立ち上がり、未だ顔を赤くして固まっているベル先輩の方へと足を進めた。





「ベル先輩、忠告があります。」



そう言うとミーは先輩の耳元でそっと囁き、1人部屋を後にした。







「………は…?」





1人残された堕王子は、一瞬ミーが言った言葉が理解できず固まっていたが、だんだんその意味が分かってきたらしく、赤い顔をさらに赤く染めた。







   ―…さっきミーが言った言葉、本気ですから―





*end*



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あきゅろす。
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