雲綱 続編3 ごめんなさい、ごめんなさい。 どうして俺は、自分の家に獄寺くんをあげてしまったんだろう。 今更気づいたって遅い事くらい分かってるけど、 俺が好きなのは雲雀さんで、 雲雀にも俺を好きでいて欲しいと思う。 もちろん男の人であっても、家で二人っきりでいてほしくない。 その前に家にあげてほしくない。 「…―っ雲雀さん!待って!!」 俺は全力で叫んだけど、雲雀さんはそんな俺を無視して、一度開けた玄関に手をかけ、出ていってしまった…。 *** ―…10分前。 「沢田さん、ここ分かりますか?」 「え、………んー、………わかんないや…。」 獄寺くんは、何故かこんなダメダメな俺を中学時代の時から慕ってくれている。 「ここは、さっきの方式に当て嵌めて…」 学校から家に二人で帰ってきてから、獄寺くんに明日提出の課題をずっと教えてもらっていた。 あと少しで終わり、というタイミングで、開くはずのない家の玄関が開いた―…。 「………………綱吉、何やってるの?」 『今日は重要な仕事が入ってるから、明日の夕方まで帰れない』 確かにそう言っていた雲雀さんが、そこにはいた。 *** 「沢田、さん…。…すみません、なんか……やっぱり、俺のせいですよね…?」 突然現れて、そしてすぐ帰っていった雲雀さんと、 そんな雲雀さんの顔を見て、全力で声を上げた俺。 そんな二人を終始見ていた獄寺くんは、少なからず自分のせいで二人の間の雰囲気を壊してしまった、とでも思ったのだろ。 雲雀さんが出ていってから、ずっと俺に頭を下げてくる。 「獄寺くん、ごめん。君は悪くないんだ…。だけど、今日はもう帰ってくる…かな?」 自分勝手にも程がある。 自分でもそう思った。 「本当ごめん……。わざわざ俺の家まで来てもらったのに…」 でも君は、俺に甘いから…。 「謝らないで下さい!俺の方こそ図々しく沢田さんの自宅にあがってしまって、すみませんでした。」 そう言ってにかっと笑うと、獄寺くんは俺に雲雀さんの事を尋ねることもなく、家を出ていった…。 「……ごめんなさい。」 一人になった部屋で俺の口から零れた『ごめんなさい。』は、いったい誰に向けての言葉だったんだろう…? 獄寺くん? それとも、 雲雀さん? *続く* [*前へ][次へ#] [戻る] |