短編
愛する関係★
「…お兄ちゃん、ぼく、お兄ちゃんがすきっ!」
ぷにぷにな頬をほんのり赤らめて、もじもじと洋服の袖を掴みながら弟の葉多(ようた)が告白してきたのは、2日前の事…。
***
「……っ、はぁ!ぉ…に、ちゃ…ッんぁ…」
グチュ、グチュと、卑劣な音が二人の寝室に響く。
時刻は午前10時。
普段ならば母親がまだ家にいる時間だが、両親は昨日の夜から結婚旅行に行っている。
『要(かなめ)くん、葉多と2人だけで大丈夫?』
『大丈夫だよ、母さん。俺もう高校生だよ?』
『それじゃあ、葉多を頼むわね。』
「……っはぁ、あぁッ!お…に、ちゃ!」
「………ッ、」
弟の葉多はまだ小学生だ。
「……す、きッ!ぼく、お兄ちゃ、んがッ…」
どれ程の時間、葉多にこうやって触れるのを我慢してきただろうか。
この自分の気持ちが、ただの兄弟愛じゃないと気付いたのは中学1年の頃。
「…葉多、気持ちい?」
「はぅ…ッ、き、きもち…ょ、ぁあッ!だ、だめ、そこ…ぁ、おかしくなっ…ちゃ、」
キスしたい、抱きしめたい、セックスしたい。
思春期のせいもあってか、いつも以上に自分の理性を抑える事が難しくなり、他の女を抱いた事もあった。
こんな声じゃない、
もっと柔らかい、
そんな風に俺を呼ばない、
している間も、ずっと頭に浮かぶのは葉多だけ。
けれどどんなにしても、やっぱり葉多ではない。
葉多の"変わり"。
心が満たされた事は、一度も無かった。
「ッあ、ゃだ…、も、ダメ…ーーッ」
「……葉多、」
あれほど満たされ無かった心が、葉多に触れるだけで満たされていく。
心だけじゃない。
身体も他の女とする時とは比べものにならない程、驚く程に敏感だ。
「…ッ、はぁ…」
「お、お兄ちゃんっ…」
グイッ、
「…ぁああッ!」
終いには俺の4本の指も軽く飲み込む程に慣らした葉多の穴に、自分の自身を埋める。
「ひぃ、やッ…!あ、あ…」
「……ッ葉多、痛くない?」
「…ぃ、たく…ないょ、おにい、ちゃ…早く、はやくおにいちゃん…と、ひとつに、なりたッ…」
グチュッ、ププッ
「ひゃあ…んん!!」
目を開ければ目の前には顔を赤くして涙ぐむ葉多。
耳から入るのは繋がる音と、甘い喘ぎ声。
匂いも温もりも、全部俺が求めていたもの。
「…葉多、葉多…ッ」
「…はぁっ、ぁ…ッ」
グチュッ、パンッ、
思いをより強く伝える為に、腰の動きを早め、より深く葉多の中へと侵入する。
「あ、ぁ…ッ!…好き、大好き…、ずっとずっと、お兄ちゃんがッ!」
「俺も、ずっとずっと前から、葉多が…好き、」
ドピュッ、
「ぁああんッ!!」
「…ッ、はぁッ」
ぎゅっ、と互いの体を抱きしめ、一緒に果てた。
そして何度も何度も繋がり、思いを言葉と身体でぶつけ合った。
もう離さない。
葉多を傷付ける物は許さないし、近づけない。
葉多は俺だけを見ていればいい。
醜く、強い独占欲だとしても、これだけ自分が人を、葉多を好きなんだと思うと、この感情もありなんだと思う。
「お兄ちゃん、」
「葉多、」
この関係が、簡単には人に認められなくとも、多分俺はずっと葉多を好きで居続ける。
もう守るだけの"兄"と言う存在では無いのだ。
そう、葉多が告白をしてきたあの日から…。
*end*
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