幼なじみ 誘い あれから俺らは、無言で着替えて、無言で教室へ戻った。 *** 帰り―… 1時間目の時の志己、なんか変だったな…。 俺を水の中から救い上げた志己は、俺の名を呼び抱きしめた。 「志己、今日は…その、ありがと…」 志己にお礼なんて初めて言ったかも。 「本当、つかえねーヤツだな。」 「…悪かったな」 あれ…?戻っちゃった? 「俺、今日ちょっと寄ってく所あるから。」 それでも今日の志己は、どこかいつもより温かい。 「あ、うん…。じゃあね」 志己は何も言わず、いつもと反対の道を歩いて行った。 あぁ、なんかもっと… 一緒にいたかったなぁー…。 「…………はっ!?」 俺今なんて思った!? もっと一緒にいたい!? あの鬼と!? 「…今日はおかしい…」 早く帰って寝ることにした。今日も親はいないから。 「…志己…。」 なーんて呼んでも聞こえるわけが無い。 だって、いくら姿が見えるからって、志己はもう何mも遠くに居る。 ―…えっ…? 一瞬志己が振り返った。 もう、バッチリ目があっちゃいました。 えぇ!?えっーー!?ちょ、こっちに歩いてくるよ!?えぇ!? 「何見てんだ?」 こ、こわいって…!その顔! 「…いや、…その。…何処行くのかなーって思って…」 必死の言い訳。 「―…ふーん…。」 くるっと向きを変えると、志己はまたすたすたと歩いて行った。 てか、地獄耳だよねっ!? あんなの普通聞こえるわけねーしっ!! 「し、志己…っ!!」 「あ゛ぁ?」 「き、昨日のゲーム…もうやらなくていいの?」 何言ってんだ?自分…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |