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骸綱
2人と二人

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ツナ、骸さんが2人いたりします!

骸さんがヤンデレ気味です!

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「ちょっとトイレ行ってきます。」




目の前にいる、色違いの瞳を持つ男が俺に話し掛ける。





「…あ、うん」



「此処で待っていて下さいね?」



「……分かった、」






顔は笑っているものの、色違いの瞳は俺を疑っていた。






「……………。」






正直言って、俺は骸が怖い。




優しそうに見える顔とは別で、いつもすぐ俺を殴るから。


色違いの瞳が俺を睨み、離さないから。












いつから一緒にいるようになったのだろう……?


最初に出会った時は、命懸けで戦う敵同士だったはずだ。







「…隠れちゃおっかな、」








そう考えると、何故か今この場で骸に反発してみたくなった。















***







「…………な、んで?」












俺はその場の少しの反発心で、アクセサリーが飾られている棚の裏に隠れた。


そして、棚の隙間から骸が行った方を眺めた。












「……――――ッ!?」












そこには色違いの瞳を持つ骸がいて、

その色違いの瞳はしっかり俺を見ていて、

体はどんどん何の狂いも無く俺が隠れる棚の裏へと歩いてくる。













「言いましたよね?あそこで待っていろと。」



「―……ッ、ご、ごめ…!」






骸の右手が拳を作り、俺の上に振りかざされる。














「あっ!ツナくん、骸くん!!こんな所にいたのっ?」












殴られる、と思い固く目を閉じた俺の耳に、甲高い女の人の声が聞こえた。









「もぅ!なんでサボってるの!?早く部活行くよっ!」





「…ぇ?」






女の人は何の躊躇いもなく、俺達2人の腕を掴んで走りだした。













***





「こ、此処どこですかっ!?」




俺達2人は、見知らぬ女の人に連れられて、木造のお洒落な造りのログハウスへと走らされた。





「何言ってんの!私達の部室その1でしょっ!」


「ぶ、部室…?お、俺達部活なんてやってないです…」





おかしい。


どうも先程から話が噛み合わない。






「はぁ?本当ツナくんどうしたの?骸くんに自分から腕組んだかと思えば、今度は記憶喪失?」


「む、骸に腕を……ッ!?」


「?いつも組んでるじゃない、まぁ骸くんからがほとんどだけど。」





何を言ってるんだこの人は…。


俺と骸が腕組?


有り得ない。


俺は骸が恐怖の対象でしかないし、骸は俺を憎悪の対象でしかないはずだ。



そんな2人が腕を組むなんて事ありえないし、手だって繋いだことが無い。







「冗談言わないで下さい。」











俺が急な展開でついていけないでいると、横から今まで黙っていた骸が口を開く。



「何で僕がマフィアの次期ボスと馴れ合わないといけないんですか。しかも僕から腕を?…はっ、有り得ませんね。」






ちら、
と横を除くと心底不機嫌そうな骸がいた。


……でもそうだよな、マフィアの次期ボスと腕組むなんてありえないよな。






「ちょっと、何してるんですか?」














「……………え?」


「…君達誰ですか?」









声のした方へと顔を向ければ、そこにあったのは綺麗な赤と青のオッドアイ、紺色の特徴的な髪型。



それは紛れも無く"六道骸"で……。



「む、骸………?」




そう俺が問い掛ければ、目の前の男は少し不愉快そうな顔をして、




「…そうですけど、」



と言った。













***





「…つまり、違う世界の俺と骸って事ですか…?」


「うーん、信じられないけど、それしか考えられないよ。」












俺達2人の元へ現れたもう一人の骸を見て、俺達を引っ張ってきた女の人がそう推理したのは今から数分前の事。





「信じられませんね、そんな非現実的な推測。」


「おや?そっちの僕は随分捻くれているんですね。」


「何が言いたい」


「解らないんですか?だいたい僕達の存在自体が非現実的でしょう?」


「…………。」




もう一人の骸は、俺の前にいる骸の耳元で不適な笑みを浮かべた。






「僕達は、呪われた右目を持っているんですから。」












***





もう一人の骸はいくつか骸の耳元で何かを囁いて、笑顔で女の人の方へと歩いていった。





「……骸、あっちの骸に何て言われたの?」


「煩い、喋るな。だいたい同じ名前で呼ばないで下さい。紛らわしい上に不愉快だ。」


「…………ごめん、」






どうやらこっちの骸は相当不機嫌らしい。

こういう時はそっとしておくのが1番、
そう今日までの痛い経験から悟った。





「さぁ、早く帰りますよ」


「えっ…!?ちょ、骸っ!」




急に骸が、先程までいたデパートへと帰る道を歩き出した。




「む、骸っ!!待ってよ!!」



俺はずんずんと長い脚で帰る道を進む骸を必死で追いかける。






「……………ああいう未来も、あったのかもしれませんね。」


「…えっ??」









骸が歩く脚を止めて、ボソッと何かを呟いたけど、すぐにまた歩き出したから何を言ったのか分からなかった。







***





「あーあ、行っちゃったあ。」

「本当、骸くんとツナくんにそっくりだったね。私間違えちゃったよ〜」




「クフフ…あっちの僕は、少し捻くれ者でしたけどね。」












赤と青のオッドアイは、もう一人の自分を追いかけていく少年へと向けられていた。








「こっちの綱吉くんも、あっちの綱吉くんくらい足が早くなってもらいたいものですね。」









そう呟いてクフフと笑うと、愛しい人の待つ並盛中学へと歩き出した。



*end*

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あきゅろす。
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