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7.組分け
「慧、君の髪は途中から色がかわるのかの?」

ホグワーツの制服に着替えて鏡を見ると確かに髪が少し伸びてプリンになっていた。

「脱色してるからなー元は黒髪だ」

こりゃ染め直さないとなーと鏡を見ているとダンブルドアが杖を振ったと同時に髪が黒になった。

「あっ!!ちょ、何すんだ!!」

元に戻せ!!と言えばダンブルドアはいつもの様に笑い黒髪の方が良いと言われてしまった。

「金髪のオレしか見たことねーだろ!!」

うわぁあとガシガシ頭を掻く。

「マグルでは髪を染めるのが流行っているのですか?」

マクゴナガルは少々興味を持ったのか聞いてきた。

「オレのいた時代の日本は髪を染めてる奴は結構いた。

学生は校則で変えないが大学生になれば皆染めてる。」

「でも貴方は染めてましたよね?」

「…素行の悪い奴は染めるんだよ」

自分で言うのがちょっと恥ずかしかった。
オレは優等生ではないしむしろ問題児だったはずだ。

黒髪とか高校入試の時にしか戻してなかったから違和感が。
あの色気に入ってたのに…まぁこの時代に髪染めなんてあんまり売ってねーよなとグッバイ金髪お帰り黒髪ともう諦めることにした。

「慧の組分けは1年生が終わってからになります」

大広間ではもう組分けが行われているのだろう。
拍手や歓声の音が聞こえる。オレはスリザリンになるなと直感した。
この性格に考え方だ、グリフィンドールはまずない。
マクゴナガルの後ろで組分けのことを考えていたらダンブルドアがオレの名前を呼んだ。

「1年生の皆、入学おめでとう!
君らにとって充実な7年を友人らと過ごし勉学に励み立派な魔法使い、魔女になってほしい。
さて、今から君らの歓迎会を始めたいと思うのじゃがその前にもう1人新しい仲間を紹介しよう。Mr.慧・狩野!!」

ダンブルドアが扉に視線を移すと生徒の全員が扉に集中した。
扉が開くとマクゴナガルの後ろに小柄な少年が目に入った。

「あ、あいつ!!ジェームズ!!」

シリウスも気付いたのか大声を上げた。

「あの時の子だよね!?」

ピーターが少し興奮しながら言った。

「でも僕らが会った子は金髪じゃなかった?」

リーマスは首を傾げる。

「いや、間違いないよ。あの時の子だ!」

ジェームズは新しいおもちゃを手に入れた様な顔をした。

「Mr.慧・狩野じゃ。ちょっとした事情で3年生に編入することになっておる。Mr.狩野、一言いいかね?」

「…日本から来た慧・狩野だ。よろしく」

別によろしくしなくてもいいけど、と心の中で呟く。

椅子に座らされると同時に頭にボロ帽子をかぶらされた。
『これは珍しい。日本人かね』

「早くスリザリンって言え。人にジロジロ見られたくねーんだ」

『スリザリンが良いのかね?』

「グリフィンドールにはなりたくない。スリザリンの方が性に合ってる」

『確かに目的の為なら手段を選ばない狡猾さはまさにスリザリン!』

「当たり前だ。1人でいる方が都合がいい」

『しかし内には熱い勇気もある。復讐を考えずに君には心を許す仲間を作るべきだと思う、グリフィンドール!!』

「な!!」

ワァッ!!と上がる歓声に慧は帽子をおもいっきり床に叩きつけて踏んだ。

「余計なお世話だ!!」

慧の行動に空気が凍り生徒は驚いて拍手が止まった。

「クソが」

赤のローブとネクタイをもらい一番後ろの席に座った。ここまで腹が立ったのは久しぶりだった。
復讐を考えるなだと?オレはあいつの所為でこんな状況になってるってーのに考えるなって言うのが無理だ!!

ダンブルドアが食事の合図を始めるとテーブルの上には色んな料理が山盛りで現れた。

「………うげ」

やっぱり外国の食事はなんていうか凄かった。
甘いもんも大量にあるし皆肉しか取ってない。
オレは以前より食べれるようになったとは言えまだあまり食べられない為パンと小皿にサラダを取った。
あー米食べたい。鮭おにぎりとか。

先程の殺気立ったオレを見て畏縮したのか誰も声を掛けてくる奴はいなかった。
しばらくして料理が消えるとダンブルドアが就寝の挨拶をし、監督生に着いて行って寮の合言葉を教えてもらった。

あーもう早く寝たい。
談話室では各々夏休みの話をしたりしていた
。オレはもう部屋に行こうとしたら声を掛けられた。

「おい狩野!!」

「うわ!!」

振り向いた瞬間水が掛かってびしょ濡れになった。
え何コレ所謂転校生いじめ?
水が身体に滲みて悶絶しそうだったが怪我をしているのがバレたくなかったのでなんとか堪えた。

「〜っ!!何しやがる!!」

水をぶっかけた本人達を見ればそこには悪戯仕掛人達の姿があった。

「俺らのこと覚えてるか!?夏休みに本屋で会っただろ?」

ニヤニヤと笑う多分シリウス・ブラックの質問に答えずに杖を振って制服を乾かしていった。
あぁムカツク。
いや、落ち着けあいつは13、オレより3つも年下なんだ。

「ブラック!!貴方狩野になんてことするの!!狩野がかわいそうじゃない!!」

突如現れた赤毛の女子。
「(えーオレ女子に庇われてるよ…)」

情けないと思いながら杖を振り続ける。湯気が出て生乾きっぽいのが気持ち悪い。
しかし今のオレあの子より身長小っちぇ。悲しすぎる。

「何、ちょっとした悪戯さ。なぁ狩野?
ってかお前前に会ったとき金髪だったのになんで今黒髪なんだ?」

「お前に会った覚えはねぇよ」

「ははっシリウス、残念だったね。彼は君のことは記憶にないらしい。
僕の名前はジェームズ・ポッター!君と同じ3年生でポッター家の長男さ!僕のことは覚えてないかい?」

眼鏡とか一番覚えやすい特徴だろ?と胡散臭い笑いをしながら話しかけてきた。

「(チッ…同学年かよ…)ポッター家とか言われても知らねぇよ」

今のオレの一言で周りがザワついた。
あーしまった、こいつの家ってブラック家並の有名な家だったんじゃなかったっけ?

「おい俺の質問無視かよ!?」

目の前までやってきたシリウスに見上げる形がなんとも屈辱的だ。

「オレの頭が金髪だろーが黒髪だろーが関係ねぇだろ。何なんかあんの?」

一触即発状態にオレのことを庇ってくれた女の子は少しオロオロしながらオレとシリウスを見ている。

「何だよその言い方!こっちが話しかけてやってんのに!このイエローが!!」
「ブラック!!」

イエローて。
うわー人種差別されちまったよ。でもイエローなんて言われてもそんな嫌悪感は来なかった。
イエローって悪口あんのかやっぱり、ってことぐらいしか思わなかった。

「狩野、ブラック!何をしているのですか!?」

ちょうどタイミング良くマクゴナガルが談話室に入ってきてケンカになりそうなこの状況を止めた。
髪がまだ濡れているのでそれを見たマクゴナガルは眉を吊り上げた。
オレの顔を見ると説明しろと無言で言っている。
「別に何も。ところでどうしたんですか?談話室まで来て」

話をすり替えるとマクゴナガルは慧が話す気はないと悟ったらしく、貴方に話がありますと談話室の外に連れ出された。

「オレは気にしないが、お前が今言ったことはマグル生まれの奴に汚れた血って言ったことと同じだぜ?
純血主義の奴と何ら変わらねぇ」

「ーっ!!」
シリウスの横を通る時に言ってやった。
案の定シリウスの顔色が悪くなった。
あいつ自分の家嫌いだからな、純血主義と同じだの言葉は結構効いたんじゃねぇのと思った。




「いやータイミング良すぎて笑っちまうぜ。で、話って何すか」

ポタポタ落ちる水が欝陶しいと顔を拭っているとマクゴナガルが杖を振った瞬間に頭が乾いた。

「話はマダム・ポンフリーから学校生活を許す代わりに毎日朝と夜に包帯を換える・薬を飲みにくること。
校長からもこれは絶対に厳守するようにとのことです」

医務室に向かっているのか階段を降りて行きながらマクゴナガルは話を続ける。

「それから貴方は飛行術の授業を取っていますが怪我が完治するまで箒には乗れません」

「マジかよっ!!」

魔法使いに箒は必需品だろ!!と言うが駄目の一点張りだった。

「箒から落ちたらどうするんです!!今塞がりかけてる傷がまた全部開いたら次こそ命はありませんよ!!」


「わーったよ。…箒に乗れないってオレは今いい年にもなってチャリに乗れないかわいそうな奴じゃねーか!!
ってか周りの奴らになんで乗らないのか聞かれたらどうすんだよ!!」

「……怪我をしていることを公表すれば「それは絶対にしねーかんな」

「そこはもう適当にやり過ごして下さい」

「今めんどくさいって思っただろ」

医務室に着くと今から来るであろう痛みに気分が落ちた。


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あきゅろす。
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