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2.Who are you?
茹だるような暑い夜、いつもは子供が多いこの場所は一昨日から子供は誰もいない。
学年末テストも終え皆夏休みに帰省した。
次に皆が戻ってくるのは新学期の9月1日である。ここにいる大男は森の番人。
暗い森の見回りは自分の仕事であり何よりも誇りを持ってこの仕事に就いていた。
自分に仕事を与えてくれた偉大な魔法使いには感謝してもしきれない。

いつもの様に相棒、犬のファングと森の見回りに来ていた。
しかしいつも怖がりながら着いてくるファングは今日どうにも落ち着きがない。
唸り声を上げながらずっと吠えている。

「ファング、一体どうしたってんだ!!」


「ウワンワンワン!!」

「あ、待つんだファング―!!」

ファングは吠えながら先に森の奥へと消えて行った。あの馬鹿犬、どこに行ったんだ!!


「ファング!!一人で先に行くんじゃねぇ!!」

先を見るとファングが何か見つけたのか顔を下に向けている。
すると同時に、何か嫌な臭いがした。鉄のような、まるで血の臭いだ。
何かこの森にいる動物が怪我をしているのかもしれないとファングの元へ向かった。

「なっ!!」

大男は絶句した。
ファングの元に居るのは一角獣やフクロウといった動物ではなかった。
そこにいたのは紛れも無い人間だったのだ。
周りの土に血が染み、血だらけで倒れており顔面は蒼白でぐったりとしている。

「こりゃいかんー!!おい、お前さんしっかりしろ!!」

少し揺さぶって頬を叩くと「ゲホッ!!」と咳込んだ。
良かった、まだ息はある―!

「しっかりしろよ!!すぐ治療してやるから頑張るんだ!!」


身体全体に怪我をしていたので背負えないので抱き抱えて医務室へと駆け込んだ。


「マダム・ポンフリー!!」

扉が壊れるような勢いで開けると先程呼んだマダム・ポンフリーが叫びながら出てきた。


「ハグリッド!!なんですかこんな夜中に―「今はそんなこと話してるわけにいかねぇ!!この子を助けてやってくれ!!」

血だらけで意識を失っている子を見るとマダム・ポンフリーが先程と違う声で悲鳴を上げた。
しかしすぐに事の緊急さを理解したのか早くベットに寝かせなさいと指示を出す。

「ハグリッド、私は今からこの子の治療に掛かります。貴方はすぐに校長とマクゴナガル先生に連絡を!!」

「わかった!!」

とドスドスと音を立ててハグリッドは医務室から出た。





「ハグリッド、一体これはどういうことです―!!」

厳格そうな女の人がハグリッドに説明を要求した。
集められて医務室に来てみればそこには血だらけで治療を受けている子供。
床にはその子の血を吸ったガーゼが数え切れないぐらいに落ちていた。

「いや、俺は禁じられた森の見回りに行ってたらその子が血だらけで倒れてんのをファングが見つけて、俺はどうしたらいいかわかんなくて、でもこの子がまだ生きてたから急いでここに連れて来たんだ!!
本当ですダンブルドア!!」

「何も君を疑っているわけではないよハグリッド。
むしろこの子を助けることができて良かったと儂は思っとる。ようやったハグリッド」

「とんでもねぇ」
とハグリッドは言葉を返した。

「ところでマダム・ポンフリー、その子はどうじゃ?」

半月眼鏡を掛けた老人は治療を終え部屋を片付けている校医に話しかける。

「見てわかるでしょうダンブルドア!!本当に酷い、重傷の怪我です!!
こんなに血を流して、ここだけでこの血の量です!!
命を取り留めたのは本当に運が良かった証拠です!!」

と涙を流しそうになりながら彼女は叫んだ。

「貴女の腕の良さがこの子供の命を救ったのですよ」
マクゴナガルがマダム・ポンフリーの手を自分の手で包んだ。

「しかし、彼はここの生徒ではありません。私はこの子供を見たことがありません」

「儂もじゃよミネルバ。
見かけない服装をしてるようじゃし、マグルかと思うんじゃが…この子が目を覚まさんと何とも言えんのぉ」

長い顎髭をさわりながらうーんと悩んだ声を出す。

「いつ頃目が覚めるかの?」

「当分覚めません!!」

その一声でピシャっと話は強制的に終了した。








ひんやりとした物が額に当たった様な気がした。
あー気持ちいい…

目を開くと光が目に入り片目をつむる。

「………」

とりあえず目に入ったのはいくつかあるベット。消毒液のような薬っぽい臭いがして病院かここ、と思った。
頭の上には少し濡れたタオルが乗っていた。

「た、すかったのか」

声を出そうとしたが掠れた声しか出なかった。
起き上がろうと上半身を動かしたら体中に激痛が走った。

「痛ってぇー!!」

あまりの痛さにまた意識を飛ばしそうになった。
痛すぎてどこが痛いのかわからなかったが一番初めに刺された左肩を触った。
初めてちゃんと自分の身体を見たとき、包帯でぐるぐる巻きだった。
腕を動かしたらプチっと音がしてみれば白い包帯が赤色になっていった。

「(あ、傷口開いた…)」


「―――――!?」


突然こちらに来た女の人(外国人!)に何か言われたが理解できずにびっくりした。

「Oh,are you OK?」

他にも何か言われたがこれしかわからなかった。
とりあえずYesと答えた。頭が痛い。
なんで英語?意味がわからん。


しかしオレの血に染まった包帯を見ると何か叫んでどこかに消えた。多分包帯取りに行ったんだろう。

「喉、渇いた」

その声は誰にも聞かれずにオレはまた意識を沈めた。




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