15.慣れというのは恐ろしいもので
新学期から1週間が経った。
ホントこの1週間はあっという間だった。
初めての魔法世界での授業はマグルで習っていたことと何もかも違い戸惑うことも多かったが何より今までの自分の常識を覆されるのが面白く新鮮だった。
昼食を食べていると上空で赤い鳥がこちらに飛んで…いや、突っ込んできた。
慧は咄嗟に下にしゃがんで攻撃を避けるとテーブルに不死鳥が刺さった。
「…フォークス、てんめぇいつもいつもオレ限定に攻撃してくんじゃねーよ!!神風特攻隊か!!」
思った以上にくちばしがテーブルに刺さって抜けないのかフォークスはギャアギャア羽をバタつかせていたが手紙を抜き取り自業自得だとそのままにしておいた。
手紙の送り主はフォークスが来たって時点でじじいっていうのはわかっていた。
内容はお茶の誘い。
…ホント英国人って茶ぁ好きだよな。
「狩野、フォークス抜いてあげたら?かわいそうよ」
あまりにも赤い羽が飛び散っているのでリリーが声をかけてきた。
別に用があるわけじゃないので洋皮紙をちぎりわかりました。と一言書いてフォークスを引っこ抜いた。
「おら早く持ってけ、痛っ!」
その場にあったクッキーを割ってやるとフォークスはオレの指を噛んで飛んで行った。
「ギャアオ!」
うわぁ…飛んで行くときにあいつこっち向いてドヤ顔して窓から飛び立って行った。
鳥にドヤ顔て。
大事なことだから2回言うけど鳥にドヤ顔されるオレって。
「(なんかホント、魔法界って奥が深ぇ)」
つーかあんな目立つ鳥で手紙なんか送ってくんなよ。
ちらりと教職員テーブルを見ればダンブルドアはこっちを見てにこやかに笑っていた。
あのじじい絶対楽しんでる。
魔法薬学の授業からスネイプとはなんとなく話したりするようになった。
つかず離れずというか、レポートをしている時とかによく会う。
「よぉスネイプ」
「あぁ狩野か」
スネイプの周りが空いているということもありスネイプの前の席に座った。
「何のレポートしてんだ?」
「天文学だ」
「あーオレそれ前の授業でやったわ。
つーか課題めんどくせー。魔法は実技だけでいーじゃんって思うんだけど」
「…同感だ」
「だろ。かと言っても寮じゃこの課題は終わりそうにねーしな」
「それもそうだな。グリフィンドールの奴らはうるさそうだ」
そこでスネイプは狩野がグリフィンドールだということを思い出した。
自分の寮を悪く言われれば気を悪くするだろうと思い謝罪の言葉を出そうとしたら「っとにそのとおりだ」と返ってきて驚いた。
「確かにグリフィンドールの連中はうるさいな。
騒ぐの好きだし。特に悪戯仕掛人」
「僕はあいつらが嫌いだ」
「それは夏休みの時のでわかった。お前らの仲の良さは十分に伝わった」
夏休みの泥だらけになったスネイプを思い出して笑えばスネイプは少しキョトンとした顔をした。
「…何だよ。そこはツッコミ入れるだろ」
「お前笑うのか」
「はぁ?笑うし。お前オレを何だと思ってんだ」
「いつもお前無愛想な顔してるからな」
「お前ぇに言われたくねーよ。あーそう…最近笑える状況じゃなかったからな、あの4人のおかげで」
「お前も苦労するな」
「お互いにな。
ところでスネイプこの問題わかるか?」
「ここはだな…」
スネイプに薬草学の問題を教えてもらいながら課題を進めて行った。
「サンキュースネイプ。おかげで早く終わった!」
「そうか」
「っと、もうこんな時間じゃん!オレダンブルドアに呼ばれてんだわ、じゃーなスネイプ!」
時計を見るとお茶のお誘いの時間になりそうだったので急いで机の物を片付けて図書室から出て行った。
「…っ。走るのはまだ早いみたいだな」
少し走っただけで息切れと痛みで走るのをやめた。
もやしか…あーもう体力まで子供かよ!
校長室に着くとガーゴイルに向かって言う合言葉がなんとも微妙だ。
「…かえるチョコ」
一般から見てどーよこの光景。
シュールすぎる。
ほんでちょっと恥ずかしいんだよぉおお!!
一人で自分の行動にうがぁああ!!ってなっているとガーゴイルが動いて階段が現れた。
もういいや考えるなオレ。
考えたら考えただけ恥ずかしくなる。
半場どこか諦めモードになりながらも階段を上がって行った。
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