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14.魔法薬学
「リーマス!もう具合良いのかい?」

「おはようみんな。うん、もう大丈夫だよ。
きのうの夜さ、狩野が医務室にいたんだよ」

「狩野が医務室にいただって?」

朝、シリウスは制服に着替えながらリーマスに聞き直した。

「そりゃきのうパッドフットが僕を突き飛ばして狩野の腕ケガさせたからじゃないか。

しかもリリーと一緒に医務室に行ったんだよ!?僕も一緒に行きたかったよ!」

途中から興奮してきたのかジェームズの声がだんだん大きくなっていった。

「それは…悪かった」

「でも腕ケガしたぐらいであんな薬飲むかな…」

ボソッと独り言を言うがどうやらピーターに聞かれていたらしく薬?と聞かれた。

「なんか…すごい色、ドブの水みたいな色した薬だったよ。
臭いもすごかったし、狩野すごい顔しかめながら飲んでてあれは僕絶対に飲めないよ」

「そんな薬僕も絶対に無理だ…」

ピーターは味を想像しただけで眉間に皺が入っていた。

「それに、狩野どこか悪いみたいでマグル式で治療してたら1年以上かかるって話聞いたんだ…」

「「「1年だって!?」」」

「狩野どこ悪いんだろ…」

「リーマス、お前狩野のこと心配してんのか?」

シリウスはゲーっと吐く振りをした。

「そりゃね、僕前に狩野と話したじゃない?
狩野っていい人だと思うよ。僕狩野と仲良くなりたい」

「いい人〜!?そりゃリーマス間違ってると思うぜ。あんな常に無表情でブスっとしてるやつ」

「そうかなー」

「まぁシリウスの言う事も一利あると思うけど、僕もちょっと狩野には興味あるね!転校生なんて今まで聞いたことないってゴースト達も言ってたじゃないか!!」

ジェームズは目立つことが好きなのでそのような特殊な環境の人物にジェームズは興味を惹かれたようだ。

「つーか狩野の話より今日の1限の魔法薬、スリザリンと一緒なんだぜ!?
朝からあいつらと顔合わせるだけで俺の気分は最悪だ!!」

どうやらシリウスの言葉で今日の一番初めの授業がスリザリンと合同だなんて、と肩を落とした。



地下牢に着くとグリフィンドールとスリザリンの席はキレイに別れていた。ジェームズたち4人もわざわざスリザリンの近くに座るワケがない。
グリフィンドールの皆が座っている近くの席に着くと狩野も教室に入ってきた。
彼は迷うことなくグリフィンドールとスリザリンの間の誰もいない空いてる席に座った。

「「「「(えぇー…そこに座るかな普通…)」」」」

悪戯仕掛人及びグリフィンドール全員が心を同じにした。
慧・狩野って結構空気読めてない。


「やぁ諸君、おはよう」

「おはようございます」

どうやら始業時間になったようでスラグホーン教授が部屋に入ってきた。
「(あれがスラグホーンか)」

たしか6巻あたりに出てくる魔法薬の教授だ。

「今日の授業は教科書8ページにある薬を調合してもらうよ。
あぁ君が慧・狩野だね!?僕は君と話がしたかったんだ!!
日本のこととか色々とね!日本は常に剣を持ってる侍がいたりサクラと言う花が咲いているんだろう?」
いきなり名前を振られるなんて思ってなかったのでびっくりしていると日本のことを聞いてきた。
ってかおい、侍なんていつの時代だ。


「…剣術や体術は普通にあるけど侍は今の日本にはいない。桜は春に咲くもんなんで今は咲いてません」

「そうなのかい!?いや驚いた!そうかー桜は是非とも見たかったのだがねーとても綺麗だと聞いたのだが。出すことはできないかい?」

周りの視線が自分に来ているのがわかった。
皆桜に興味津々なのかグリフィンドールの奴らの目が輝いている。
…桜ってこっちにはないのか。
日本なら春になったらどこにでも咲いてんのに

「…やったことないから出来るかわかんねーよ」

こんな空気になったらやるしかねーじゃん!
頼むから出てくれオレはそこまでKYじゃない。
杖を振ると天井からひらひらとピンクの花びらが落ちてきた。
スリザリンの席からもうわぁーキレイ!という声が上がる。

「(あー良かった出て)」

「はっは、こりゃ素晴らしい!!グリフィンドールに10点!!」

「(そんなんで点上げていいのかよ)」

もう一度杖を振ると桜は消えて行った。

「いやはや日本は素晴らしい国だね!この花って咲いてる場所とかあるのかね?」

「学校とか公園とか春になればどこでも咲いてます。それより先生日本の話より授業に戻りましょう」

日本の話なんかずってしてられるかと授業に戻るよう促せば少し残念そうな顔をしてそれじゃあ授業に戻ろう!と言った。

「Mr.狩野はまだ慣れてないから誰かと一緒に組んでもらおうか」

「あ、オレスネイプと組みます」

グリフィンドールの奴らと組みたくなかったし何よりあの4人の誰かと組むのは絶対に嫌だったので候補が上がる前にスネイプを名指しした。

「「「!!?」」」

少しオレより後ろの方にいたスネイプはかなり驚いていたしグリフィンドールから嘘だろ!?と言った表情だった。

「Mr.スネイプなら大丈夫そうだね。Mr.スネイプ、Mr.狩野のサポートを頼むよ」

席を移動すればスネイプはなんで僕がグリフィンドールと組まないといけないんだと愚痴を零した。

「頼むよオレまだ魔法薬の調合やったことねーんだ。
きのうも魔法薬の本持ってたしお前なんかこういう系得意そうじゃん?」

「フン、さっさと始めるぞ」
オレとスネイプは2人で1つの薬を出すことになった。
調合に使う材料と道具を出し分担を決めていった。
「………。」

小刀を取り出して刻もうとした時、ずっと小刀を見ている慧にスネイプは声をかけた。

「どうかしたか?」

「…これ切るの代わってくんね?オレこっちの材料計って茹でとくから」

無言ながらもスネイプは材料を切るのを代わってくれた。

「悪ぃな」

材料を計り鍋で茹でているとスネイプは材料を切り終えて鍋に入れてきた。

「お、サンキュー。あとは10分ぐらい煮込むだけだな」

「初めてのわりに手際が良いな」

「言ったろ?化学は得意だったんだ」

「マグルのことを言われても知らん」

「だよなー」

鍋を掻き混ぜていると薬の色は淡い緑になり薄荷系の臭いがした。
ボン!!と鍋が小爆発する音がするとピーターとリーマスの鍋が悲惨なことになっていた。
ピーターはギャアア!!と叫んでリーマスはやっちゃったよー!!と慌てていた。グリフィンドールの席はガヤガヤ騒ぎになりスリザリンは馬鹿にしたような笑いをしていた。

「…ご愁傷様ー。第一工程に使う材料が多過ぎたんだな。あーオレ良かった。グリフィンドールの席に座ってなくて」

試験管に薬を入れているとスネイプがこちらを見てきた。

「…お前グリフィンドールだろ」

「認めたくねーがグリフィンドールだな。
なんでグリフィンドールになったのか不思議でしょーがねぇよ。オレはスリザリンだって思ってたのに」

その言葉にスネイプどころか他のスリザリン生まで驚いていた。

「本気で言ってるのか」

「帽子にもスリザリンが合ってるって言われた。オレもスリザリンに入れろって言ったのにまさかのグリフィンドールだ。笑っちまうぜ」

薬を入れ終わって試験管にフタをする。

「持ってこーぜ」
「あ、あぁ」

薬を提出しに行くとスラグホーンは「完璧だ!」と満面の笑みだった。

「ここまで綺麗な緑色を出した生徒はここ数年見たことがないよ!Mr.スネイプ、Mr.狩野のフォローをしながらよくやったね!スリザリンに10点」

スリザリンからはイエーイとか拍手が上がりグリフィンドールは露骨に嫌な顔をした。

「僕は狩野に何も「スネイプ次の調合も一緒に組もうぜ!先生、当分オレスネイプと組んでもいいですか?」

その発言に今度はグリフィンドールが驚きの声が上がる。

「あぁもちろんだとも!Mr.スネイプいいかね?」

「…は、はい」

「さ、皆も薬が出来たら提出して!」

皆が薬を出す中、鍋が爆発した席を見れば提出は出来なさそうだった。


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