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13.なんで関わりたくないのに関わっちまうんだ
夜になって大広間で夕食を取った後慧は医務室に向かっていた。
「失礼しまーす」

「あら慧、今日は早いのね。腕はどう?」

「ん。大分マシになった」

「それは良かったわ。さ、制服脱いで」

ネクタイを取って制服を脱ぐと白い包帯が見える。

「〜っ!!痛ったぁー!!」

薬を塗ってもらった時に突き刺さるような痛みに声が上がる。
腕だけでこの痛さなのにケガの多い上半身はまだ薬塗ってないから今すぐこの部屋から出ていきたい衝動に駆られた。

「あと少しの辛抱です」

「あと少しってあとどんだけあると思ってんだ!」

薬を塗り終えて包帯を交換してもらう頃にはもうぐったりだった。
毎回思うがもう無理!

「これいつになったら治るんだ」

「そうね、思ってたより大分治りは早いからあと一月ぐらいかしら」

「魔法ですぐ治んねーのかよクソ、痛ってー」

「マグル式で治療してたらあと1年は掛かりますよ」

「…マジで?」

「マジです。本当は私はまだ此処で安静にしてほしいんですけどね」

「あざっーした!」

また入院とかごめん被ると思いシャッ!とカーテンを開けるとそこにはリーマス・ルーピンがいた。

「!! ルーピン…!!」

「や、やぁ狩野…」

「……てめぇどっから話聞いてた?」

少し息が上がってる狩野の気迫にリーマスは少したじろぎながら答えた。

「マグル式だと治るのに1年掛かるってとこから…どこか悪いの?ケガ?」

「お前には関係ねーだろ…ってゆーかお前親の見舞いに行ってたんじゃねーのか?」

「うん、病院に行ったんだけどそこで風邪もらったみたいで」

嘘だ。
風邪をもらっただけで腕に包帯なんかしないだろ。

「慧、薬です」

「うわ」

ドブの水の様な色の薬を見てリーマスは引いた声を出した。それ飲むの?みたいな顔をしていた。
顔をしかめながら狩野は一気に薬を飲んだ。
咳き込みながら水を飲んでるのでものすごく苦いんだろう。

「大丈夫?」

「…部屋に戻る」

「休まなくていいのですか?」

「…いい」

いつも少し休んでから部屋に戻るんだがルーピンがいるので帰ることにした。
ゴブレットをマダムに渡すと狩野は医務室から出て行った。

「狩野…病気なんですか?」

「いいえ、ただ少し薬を飲まないといけないだけですよ。さぁルーピン、貴方もベッドに戻りなさい」

狩野のことが気になりながら自分もベッドに戻った。



「…くっそ、リーマスに見られた…!!」

見られたと言ってもケガは見られてないのが幸いだったが医務室に通ってることはバレてしまった。
あーもう他の奴に見られるんだったらまだしもなんでリーマスなんだ!!
っていうかあの時リーマスのことを名前で呼びそうになったのが一番驚いたのだが。
一樹が散々リーマスとかセブルスがー!!とか言ってたから下の名前で定着しているのがなんとも微妙だ。
得にジェームズとシリウスは苗字だけであまり出てこないので余計に下の名前で呼んでしまいそうになる。

「(まだ寮に戻るのは早いな…図書室にでも寄るか)」

まだあまり魔法界のことはそこまでわかっていないのでとりあえず本を適当に読んでいた。
時代が進むにつれ物騒になっていくのはわかっていたので闇の魔術に対する防衛術や魔法薬学の本も手に取る。


「まぁとりあえずこんだけでいっか」

机の上には大量の本。
速読したらすぐ読めるので気になった部分とかはノートに書き込んでいった。






「…ない」

あんな古くて分厚い魔法薬学の本など誰も読まないだろう!
司書に誰が借りたのか確認したがここ最近借りた人は以前僕が借りたのを最後に誰も借りていないらしい。

ないものはしょうがないのでまた今度探すかと今持っている本を読むことにした。
空いてる席を探しに図書室を回るとぽつんと空いてる席があった。
…夏休みに会ったあいつだった。
意図的に誰も近づかないようにしているのがわかった。組分けであれだけ殺気立った行動をしたからだろう。
僕としてもあまり混み合ったところで座りたくなかったのでそいつの近くに座った。
何を読んでるのか気になって見ると新聞や物語、呪文書などジャンルはバラバラだった。
そして一番下に僕が探していた本があった。

「(こいつが持ってたのか…)おい」

「…あ?あ、お前」

僕のこと覚えてたのか

「スニベルス」

「違う!!」

「(ダメだ、笑うな…!!)
違うのか?そう呼ばれてたからてっきり」

「セブルス・スネイプだ!!」

「おーそりゃ悪い、オレは「知っている。慧・狩野だろう」

「オレのこと知ってんのか」

「…少なからず有名だ」

「やっぱ転校生って目立つよなーオレしかも外人だし」

自分自身に外人なんて言うのは違和感あるなと思いながらもペラっと本のページをめくった。

「で、何か用があって声かけたんだろスネイプ?」
「その魔法薬学の本を探していた」

「あーこれ?今いる系?だったら今読むわ」

よっ、と声を上げて一番下にある本を取り出して読もうとするが読み終わるまで待てと?

「何時間待たせる気だ」

「2分」

すると彼は本を左手で持ちバラバラバラと猛スピードで本をめくっていった。
あれで本を読んでるつもりか?

「はい」

2分待てと言ってたわりに実際は2分もかかってない。

「ふざけるのもいい加減にしろ」

「ちゃんと読んだって。なんなら340ページ開いてみろよ」

そう言うと未来のスネイプ先生は眉間に皺を寄せながら本を開いた。

「ディーガラス薬の作り方。雪見草12gを75度の湯で湯がいた後にすり潰した後その煮汁でまた1時間湯がく。
冷水で温度を35〜37度まで冷まし唐草3gをレール液130mlで溶解したものを1適入れ右に5回左に3回半回したあと30ml入れた後薄い水色になる。
それを確認した後残り100mlは桔梗の根を3センチ角に切りナハの羽は1度毒抜きしたあと火であぶり「わかったもういい」

「あと248ページにおっさんの顔に落書きされてるぞ」

スネイプは248ページを見るとオレの顔をもう一度見た。

「何の魔法だ?」

「魔法じゃねーよ速読術。目の動かし方を鍛えれば誰にでも出来るようにならぁ。日本語だともっと早く読めるけど」

縦書きじゃないから目の動かし方が違うんだよなとクルクルと左手のマグル製品のペンが回った。
「…魔法薬学に興味があるのか?」

「んーそうだな、向こうでも化学とか物理…理系は得意だったし」

「化学?」

聞き慣れない名前にスネイプは首を傾げた。

「あーまぁこっちで言う魔法薬学や薬草学」

説明がめんどくさかったのでそこははしょった。薬草学ってどちらかと言えば理系だよな?

「…そうか。目的の本が見つかったから僕はそろそろ寮に戻る。」

「おぅ、じゃーな」

ノートに文字を書き込みながらスネイプに手を振った。




「慧・狩野か…」


あのポッターやブラックと同じグリフィンドールなのに、何故か嫌悪感がないのが不思議だった。

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あきゅろす。
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