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9.Where's he?
狩野がマクゴナガルに呼ばれて談話室を出て行った後、4人は寝室に戻っていた。

シリウスは先程狩野に言われたことが堪えたのだろう。
かなりへこんでいた。まるで犬みたいに。

「パットフッド!!そんなに落ち込むなよ」

「俺、とんでもない事言っちまった。これじゃ家の奴らと変わんねーよ…」

シリウスが狩野に言ってしまった言葉に自己嫌悪している。

「確かに、シリウスが言ったのは差別用語だったと思うよ」

「う、」

「リーマス!」とピーターが悲鳴の様な小さい声で名前を叫んだ。

「悪いと思ったなら謝ったら」

「…悪かった」

「僕に言っても意味ないでしょ」

リーマスの止めの一言でシリウスはベッドに倒れた。

「悩むよりとりあえず明日の朝狩野に会って謝りなよ。僕らも付いて行くしさ」

「…そうする」

ジェームズが一緒に行こうと言ったのが効果的だったのかシリウスが少し明るくなった。


次の朝、狩野が大広間に来るのを待つ為にいつもより少し早く起きて待つことにした。
ピーターはまだ眠いのか目が眠そうだ。
しかしいつまで待っても彼は来ない。

「狩野、来ないね」
ピーターはキョロキョロと周りを見たり他の寮のテーブルを見るが4人が探している慧・狩野は姿を現さない。

「寝坊?」

「マジで?」

配達の時間になり窓からは多くの梟が生徒に手紙を飛ばしてきた。
2羽の梟がジェームズとシリウスに手紙を落とす。送り主を見ればマクゴナガルの文字。

「何て書いてるの?」

「昨日のことで罰則だってさ。時間は昼休み、昼は君達2人で先に食べててよ」

「わかった。もう教室行かないと。シリウス、次の授業に行くときにしよう」

薬草学の教室に入ると狩野がいた。
しかし席が離れているので話すことができなくて次の授業は占い学。
占い学の教室はここから遠かったのですぐに移動しないといけなかった。
どうやら選択した教科が違ったみたいで彼は占い学にはいなかった。
同じグリフィンドールなのに中々声を掛けられないのが何とも歯痒かった。
授業中にピーターは水晶玉を落としてしまってピーターは授業が終わった後に部屋の片付けをマグル式でやれと言われてしまった。
授業が終わるとジェームズとシリウスは罰則の為にすぐ教室から出て行った。
ピーターは時間が掛かるから先に大広間に行ってくれとのことでリーマスは1人大広間へ向かった。


大広間へ行くとそこには今日僕らがずっと探していた人物がいた。
少し顔色が悪いが彼はコーヒーに手を伸ばしていた。

「やぁ」

僕が声を掛けると彼は少し眉間に皺を寄せた。昨日ジェームズ達と一緒にいたしまた悪戯されるって思ったのかな、ちょっと警戒してるみたいだった。

「何か用?」

「ううん、用はないよ。君と話をしたくって」

僕は一応断りを入れ狩野の隣に座った。
僕と話すことによってシリウスが来るまで時間を稼ぐつもりだった。
午後からは飛行術だから話すに話せなくなる。

「昨日はごめんね?シリウスすごい反省してたよ」

すると彼は皆と違う奴は批判や差別をするものだと言った。
自分が差別されたのに本人は何も気にしていない様だった。
僕は、後ろ指を指されて差別をされるのが本当に怖い。
でも差別をされても受け入れてくれる人は受け入れてくれるって言われた時、嬉しかった。だって今僕と行動をしている3人は僕が人狼っていうことを受け入れてくれたんだから!
思わずすごいと言ったら彼はフツーだって言ったんだ。僕は普通だなんて思わないよ。
話も一区切りしてサンドイッチを食べ終わった彼は席を立った。
全然食べてなかったので驚いた。

「サンドイッチ1つしか食べてないじゃない!」

まだシリウスが来てないし、それにまだ僕は狩野と話をしたかったが狩野は大広間から出て行った。

ちょうど入れ違いにシリウスとジェームズが来た。
シリウスはやはり狩野のことが気になっていたのか僕が狩野と話していた内容を話した。
その後飛行術の授業だったのだが彼は一度も箒には触らなかったし空を飛ぶこともなかった。
周りは狩野の事を見ていたし話したりしていたが彼の睨みに畏縮していた。すごい機嫌が悪いみたいだ。

「ジェームズ、狩野、どうしちゃったのかな?」

空を飛びながらピーターはジェームズに聞いていた。彼はあまり箒の技術は高くないので少しふらついていた。

「さぁ…わからない。箒に乗れないのかな?どう思うムーニー?」

「うーん…高所恐怖症…とか?」
「高所恐怖症だって!?」

シリウスのツボに入ったのか彼は飛びながら腹を抱えていた。

「シリウス、僕の勝手な予想だからね?」

下を見ると狩野が上を見ているのが見えた。彼からしたらどこに誰がいるのかはわからないと思うが。

「(狩野…)」


誰にも聞こえない声で彼の名前を呼んだ。

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