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僕の灯を君に、十六夜。
第五夜∞偽疾患


そう。


ただの、
僕の勘違いだと言ってくれ。





真っ白な白い空間に包まれている。
白い壁に反射する光が眩しくて、病室のベッドの上で僕は目覚めた。
シーツや布団から、薬品のキツイ臭いがした。
吐き気がする。


うっ。
頭が…割れるように痛い…っ。
指先の感覚もまるでない。
痺れているようだ。


先日僕は、君に別れを告げられた。
一瞬の嘆きですべて終わった。
もうよく思い出せないけど。


それから睡眠薬を服用した、何粒も。
数え切れなかったけど、きっと沢山。


赤いくるくる回るランプ。
耳にキーキー響くノイズ。
カラダを揺する振動。


僕の意識はどこにあるのか。
脳味噌の中?
それとも他のどこか?
多分変な考えばかりが脳裏に浮かんで。


きっとこんな僕を、
君はあざけ笑うんだろう?
遠くから見つめる何人もの中に居る、
たった一人愛した君さえ、僕を笑うんだろう?


あぁ、


笑ってくれよ。思う存分。


それでも平気だって、僕はやってのけるさ。
いとも簡単に。
無残に。
そして儚く。


赤いくるくる回るランプ。
耳にキーキー響くノイズ。
カラダを揺する振動。


そして僕は病院に運ばれた。


薬、飲みすぎたかな。
飲んでも飲んでも効かないんだもの。
望むなら嫌気がさすまで飲んでやろうかとも思ったのに。


ツライ思いを忘れる為に薬に走る僕は、偽の悪夢にとらわれてる。
一種の病気だ。
笑っちゃう。
僕さえ笑っちゃう。


ただの、
僕の勘違いだと言ってくれ。


あぁ。
もう十分笑ったろ?
もう目、閉じていいだろ…?

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あきゅろす。
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