僕の灯を君に、十六夜。 第四夜∞雨音 小雨のぱらつく音が聴こえる。 ゆっくりと眼を開けてみる。 気が付くと、僕はベッドの中に居た。 ただいつもと違ったのは、 隣に見知らぬ女が居た事だ。 なんだ…? 二人とも裸で、ひとつの白い毛布に包まっていた。 昨日、俺は何をしていたっけ…? 記憶の片隅を辿っても思い出せる事は何も無い。 どうせ、昨晩飲み明かしてナンパでもしたのだろう。 全く情けない…。 「ん……」 小さな寝ぼけ声をあげて、女は眼を開けた。 その途端、驚きの表情を見せる。 きっと、彼女も覚えていないのだろう。俺の事は。 二人して、初めて見たのが互いの裸。 一瞬の沈黙と戸惑いもあったけれども。 そして俺も彼女も、どちらから誘う事も無く、 何かを求めるかのように、 じゃれ合う子猫のように、 抱き合っていた。 ちっぽけな存在を確認するとでもいうの? それとも、この雨みたいに、 一粒から堕ちて一緒に溶け合う? この小雨で部屋の湿度は快適だ。 白い毛布に包まって。 彼女の体温を全て逃さず受け止めるように。 心地良い快感を求めるんだ。 きしと鳴るベッド。 彼女の温かなぬくもり。 首に巻いたシルバーネックレスがやけに冷たく感じる。 喘ぎ始める二人は、ただどちらともなく。 感じ合う二人は、ただ人間の如く。 雨音で、この部屋の中は一つになってく…。 [*←][→#] [戻る] |