[携帯モード] [URL送信]

僕の灯を君に、十六夜。
第三夜∞血濡れた足



はぁっ…はぁっ……。



息を切らして、僕は全速力で走っている。


逃げなければ!!
できるだけ遠くへ…!!


辺り一面に広がるいばらの道を、戸惑う事も、迷う事も無く。
美しい、鮮血のような赤い薔薇。


どこにも道は無いけれど、僕は道を掻き分けて進んで行く。
その薔薇を踏み潰して。
もしも立ち止まったりしたら、
その赤い薔薇たちがこちらを睨みつけるだろう。


痛い、返して。
と言うかのように。


はぁっはぁっ


薔薇のとげが足に刺さる。
血が吹き出る。
薔薇の花弁が体にこびり付く。
血を流した闘牛士みたいだ。


身体中から、死相の色が見え隠れする中。
腫れを持った部分は、はちきれそうな程痛々しい。


はあぁぁっ


後方から、幾人もの足音が聞こえてくる……!!
こっちへ来るっ!!
嫌だ!!
早く、もっと速く逃げなければ!!


血が滴り落ちる。


助けて…誰か……。


地面の底から黒い陰が、ぬんと飛び出す。
僕の腕をがっしり掴んで離さない。
嫌だっ!!
やめてくれっ!!


××なんて嫌だーーーー!!!!


死神と、薔薇と、血で濡れた足。

[*←][→#]

3/16ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!