お前に溺れた俺の蜜 PELSONA もう日は高く昇り、朝の会議が始まる時間だ。 僕は君を残し、テントの中にもぐり込んだ。 急いで飯を食べ、身支度を整え、もう一度外へ出ると、君の姿はもう無かった。 揺らぐ気持ちの中、足どりはいつもより重かった。 この任務に就いてから、何度も同じような事を見てきた。 幾億の死体と、大量の血の海・・・・・・。 広大に広がった、『ソレ』はまるで地獄のようだった。 そして、今日もまた、同じ事を繰り返し・・・・・・。 正直、こんな世はもう嫌だ。何故、戦うんだ? 多くの血を流し合う事がそんなに楽しいか? 快楽か? 友を殺したら重罪なのに、敵を殺したら英雄なのか? 一番奥の、一番安全な場所には、鬼指揮官のテントがある。 僕は、そこへ急いで行って、鬼指揮官の命令を受けなければならない。 きっと、君を殺すよう、命令を受けるのだろう。 ペルソナを・・・・・・あの恐ろしい鋼鉄の仮面を、君に捧げるようにと。 そして、それをこの僕に、「儀式をやってのけろ」と言うんだろう? 今日の日の出は早く、太陽は全身をあらわにし、朝の会議が始まった。 案の定、あの忌ま忌ましい鬼指揮官は、この僕に命を授けた。 そうと解かった瞬間、もうどんな恐ろしい事をしても平気な気がした。 君を失う事の他に、どんな恐ろしい事が有るのだろう・・・・・・? 僕は、会議の席をはずした。 鬼指揮官は僕を気にかけ、何も言わずに黙って見送って居た。 [*前へ][次へ#] [戻る] |