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〜宛メメント





月と、太陽が
泣いてる。


音を立てて。
漣に紛れて。

ザーザー

砂嵐みたい。


明け方の通り雨。
その景色は、あたしの心を映してる。
表では笑って、心が泣いてる。
自分の正体を隠そうと、必死に取り繕ってる。そんなところ。


あれからすぐにあたしは帰路についた。
まともにユヅキと会話出来なかったせい。


ユヅキがクレドの知り合い。
あたしがクレドを好き?


ぐちゃぐちゃになって今にも潰したくなる。
真っ赤なトマトみたいに、潰したらあたしの体も粉々に砕けそう。
そしてこの雨で全て綺麗に流して欲しい。


好きってなんですか?
愛ってなんですか?


そんな疑問を呈した所で世界は皮肉。
気付いたらまたこの部屋に居て何事も無かったかの様に流れる時間。
それなのに。
記憶はクレド、貴方に縛られている。


クレドと親しそうな、ミユウという女。

あたしを見た途端血相を変えた女。

それはつまりそれなりの関係。

なら
クレドが言った言葉は嘘?


−−君が美人だからじゃない


−−俺もよくあるから、そういうの


−−辛くなったら俺のとこ来い





思い返せば簡単な事。
クレドは遊びだったの。

それは最初から解っていた事。

何も恐れる事なんかない。

いつも通りじゃない。


飛ぶ事に疲れて羽を休めていた時に

たまたま枝があっただけ。

枝は脆くてすぐ腐ると知りながら

あたしはそこに留まっただけ。


ただそれだけ…


好きとか、そんなんじゃ…




雨雲の切れ間から


チラチラ

チラチラ


閃光は降り注ぐ。
手を伸ばせば掴めそう。


こんな穏やかな光景なのに

あたしはこんなに穏やかじゃない。

やっぱり世界はあたしを孤独にさせる。


「こんな世界、もういいや…」


未練も何も
大切な物さえ何も

あたしは最初から持っていないのだし。


失う物が無ければ怖くないでしょう?




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