[携帯モード] [URL送信]

〜宛メメント
東洋
ユヅキと共に店の外へ出ると、煌びやかな人工光と賑やかな声。
ユヅキは、とある大通りのビルにあたしを導いた。
「ここの2階だよ」と言われたが、あたしは、その1階テナントが目に留まる。


そこは古着やアクセサリーの雑貨屋になっていて、エキゾチックなアジアン風のロングスカートやショール、又は純銀シルバーのナチュラルなアクセサリーが独特の雰囲気を醸し出していた。
一言で言うと、ヨガとか、アーユルヴェーダ。
でもそういう物を好んだ事が無いあたしにとっては、説明し難い世界観。


「俺が経営してんだよ。好きなんだ、東洋が。興味でもあるの?」


長い黒髪を揺らしながら、ユヅキは灰色の眼を覗かせる。
その眼を見て居ると、何故か、行った事すらないユヅキの言う「東洋」をイメージさせる。
きっとこの店のように、ユヅキの奥底からは、彼自身の世界観が滲み出て居るのだろう。


「今まで気にした事もなかった。でも、素敵。」


素敵なのは、東洋とかお店じゃなくて。
ユヅキから溢れるパワーだ。
ユヅキ自身のパワーを受け継いで、店の商品にもパワーがあるような錯覚。


[←][→]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!