〜宛メメント
エタニティー
膝の上に掲げたギターをスタンドに戻すと、テーブルの上に置きっ放しになっていたクレドの手紙に目がいく。
キャスターマイルドに火を灯しながら、それを手に取った。
「馬鹿なのは、あたしも同じか。」
切手も無ければ、ここの住所さえ書かれていない。
安っぽい只のコピー用紙のような紙キレに、あたしの事を淡々と綴るクレドの文章。
不思議とそれは、クレド本人からであると疑わなかった。
言葉、仕草、優しさ……文章から推測するに、クレドのものと全て合致する。
思わず、クレドの残り香エタニティーを探す。
が、すぐに、その浅はかな行動を恥じた。
意外と、あたしは冷静だった。
それはもしかすると、あたしが強がっているだけなのかも知れない。
でも、それでも良かった。
以前バイトをしたコンパニオン会社からの連絡があって、ヘルプで出てくれと言われたから、余計な感情なんて邪魔なだけ。
あたしは、今宵も、蝶になるわ。
華やかで、煌びやかな、グロテスクな羽根を広げて。
それでいいよね?
許してね、クレド…
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