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〜宛メメント
憂鬱


っクシュン。


湯冷めしたのか、くしゃみが出る。
もうそろそろ雪が降るのか、浴室と違って脱衣所は肌寒い。
備え付けのバスローブに着替え終え、部屋に戻ると、ソファーでブランデーを酌み交わしているミユウと男。
ミユウの甲高い猫なで声にイライラしながら軽く睨み付けると、ミユウはそれに気付き、毒吐く。


「サチコ、遅いじゃない!
じゃ、今度はあたしがシャワーするから、ごゆっくり。」


そんな事言って、逃げる癖に。
何時もとは違う、やけにテキパキとした機敏な動きに本日何度目かの溜め息が漏れる。
いっその事、思い切りハァと言ってやれば良かったか。
ミユウは、男の身体に擦り寄って甘えた声を出しながら、男をベッドに向わせた。


「ほらぁ〜早くベットへ行きましょ〜ぉ〜
まずは二人っきりで愉しんで下さいね?」


ほ ら ね 。


そう言って、手をひらひらさせながら脱衣所へ向うミユウの後姿を見つめ、睨む。
ベッドでは男が無言で蛍光灯から間接照明に切り替えていて、暗闇の中で手招きをして居る。
仕方無い。
あたしの身体はどうせ汚れているんだ。
それなら、行きずりの男の相手の方が、相手を思いやることも無くて幸いだ。


そう決意して、ゆっくりとベッドへ、男の隣へ座る。
すると男は強引にもあたしのバスローブを剥ぎ取り、あたしを下に押え付けながら愛撫する。
少し痛い位の強さが呼び起こす感情は、決して快楽では無い。


ただの、憂鬱だ。


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