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〜宛メメント
ギター

クレドの部屋は黒と白で統一された、居心地の良い空間だった。

壁には無数のエレキギターがきちんと並べられ、さも楽器屋のようだ。

部屋の奥には白いベッドと大きな窓が一つ。
そこから覗く月明かりが部屋の中を包み込み、人工的な灯りはここには必要なかった。


クレドの手を離し、床に座る。

「…ギター上手いの?」

そう問うた直後には既に、クレドの口からは片仮名ばかりが飛び出す。

レスポール、フェンダー、ストラト、ESP…
きっとギターの型や会社の名前なのだろうが、あたしには訳が解らなかった。

クレドがこれ程までに音楽好きという面を除いては。


「あたしの事話して?」

「俺の事、じゃなくて?」

「あたしの事。」

「名前…IDはチョビコ。
超美人で、歳は…17?18歳のフリーター?」

「ハタチよ。
そういう外見じゃなくて、私の中身を話して。」

「うーん…
クールに装ってるけど隠してるだけ…でしょ?」


クレドのその言葉にあたしは驚きを隠せなかった。

こんな短時間でどうしてクレドに解かってしまうのだろう。

幾つも隠し持って居た羽根はクレドの前では意味さえ持たぬ程脆く、
隠し通す事なんて出来ないのだ。


「誰にも見せないのって、嫌にならない?」


クレドの哀しげな声があたしの胸に圧し掛かる。


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