〜宛メメント 寂しさ 「前に、テレクラで知り合っといた男、会わずにキープしといたの。」 そう切り出すミユウも、きっと夜が怖いのだ。 怖いから、孤独だから、誰かと一緒に居る。 それは逃げじゃない。 本能に近いのだ。 寂しいから、誰かの胸を借りる。 腕の中で眠る。 寂しさは、独りになると襲って来るから。 でもそれを忘れさせるのは、同性じゃない。 異性でなけでば、寂しさが遠退く事は無いのだ。 「何で二人なのよ。あたし居なきゃダメなの?」 「まあ、まず入ろうよ。もう待ってるハズだから」 連れて来られたのは、怪しく光るラブホ。 簡単に大金が稼げる…と言われ、薄々気付いては居たが、やはりこういう事か。 笑っちゃう。 もがいても、もがいても、煩悩という渦の中でしか、生きれないあたしの性。 汚い、と解り切って居るのに、止められない。 あの怪しく光る光が、あたしを解放してはくれないでしょ? でも、それは、あたしが寂しいから? …否、寂しさなんて感情、昔に捨てた筈なの。 あの頃に、捨てた。 [←][→] [戻る] |