〜宛メメント 夜 深夜2時を回り店も閉店になる頃、片付けを終えたあたしとミユウは店を後にする。 店長はかなり適当な人で、釣銭とチェックさえ間違えなければ寛大な人だった。 あたしは結局、ミユウの言う「金稼ぎ」を断り切れなくて、 嫌々ながら背中を押されてミユウに続いて歩いた。 ふと通りを見回すと、ネオンや電飾の灯りで眩しい。 昼間のような人混み。 何時も目にしている光景だけに、軽く吐気がする。 まだ明るい街。 休み無く働く人。 男に媚びる女。 女に躍起になる男。 夜なんて、この街には来ないのかも知れない。 だってそうでしょ? 皆、夜が怖い。 あたしだけじゃない。 寧ろあたしは、夜の方が心地良い位。 誰も、あたしを見なければ良い。 誰も、あたしに触れなければ良い。 誰も、あたしの事なんて考えなければ良い。 夜は、あたしを休ませてくれる、唯一の存在。 でも、可笑しいよね。 夜になると、孤独過ぎて、 考えるのは何時もクレドの事。 クレドが、あたしの心を掻き乱すんだよ…。 [←][→] [戻る] |