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〜宛メメント
気だるい朝

勧誘ばかりの郵便物のポストの中に、それが入っていたのに気付いたのは
気だるい低血圧で目眩を覚えた今朝の事だ。


質素なアパートのこの部屋は灰色のコンクリートが剥き出しになっている。
フローリングさえ無く、煙草の灰でもまぶしたような浅黒い床には幾つかの赤い染み。
そこにある家具といえば、丸いダイニングテーブルと一つの椅子。


およそ生活感も無い部屋の片隅に、それらを乱雑にまとめて配置している様は
どこからどう見ようとも、年頃の女の部屋ではなかった。
八畳の空間に独り、あたしは眠気覚ましのコーヒーをすすって居た。


「…クレド……。」


便箋――もといそれらしきただの白い紙に殺伐と書かれた文章に一通り目を通し、
視線をコーヒーカップに逸らした後、それを床に投げ捨てる。


カサッ。


音を立てて無残に散った紙切れは
想いの淵さえも漂えない波の様に。


それ以上動く事さえ許されない。


「馬鹿みたい。」



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