〜宛メメント
川原
ジュッ。
ZIPPOの青い火が勢い良く辺りを照らす。
川面にキラキラと反射された光が神秘的に二人を包んでいた。
気が付くと、クレドは河川敷でバイクを止めていた。
あたしはどれくらい走っていたのかよく解からなかったけれど、そんな事はどうでも良かった。
クレドが最初に連れてきた場所…
そこらへんの安っぽいラブホテルでも無い。
煩いカラオケでも無い。
薄暗い路地でも無い。
夜の星と街の彩られた電飾を煌々と映し出す川だった。
あたしはそれに余りにも感激しているようだった。
自分でも信じられないくらいに…
だって、今までの男は何かとつけてセックスしたがり
ラブホだのカラオケだの…
運が悪ければ暗い路地に連れ込まれ、ヤられた。
クレドはあたしの隣に座り込み、
無言でクールマイルドをふかして居る。
白く吐き出される煙。
それすら神秘的にも思えて。
「ココ、いー場所だろ?
星がキラキラでさぁー
水の音もさぁー…」
目線を水面に向けたまま、クレドは言葉を放つ。
相変わらず無愛想にそれらを眺めて居たあたしは、ちっとも素直じゃない。
こんなにも、自分の気持ちを素直に吐き出しているクレドが羨ましい…
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