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〜宛メメント
鳥篭
「もう、先客入ってるけど、
高くしてくれたら先客断ってオジサンとこ行くよ。」

必殺コンボ―より多く金を稼ぐ為の手段だ―を
堂々と言ってのけると、
男はさも嬉しそうに、あたしの肩に手を回し、
ぱっくり割れた赤いスーツの胸元から谷間を凝視する。

「金はあるさ。頼むよ。811号だから。」


そう言って、彼はさっさと宴会場を後にして行く。
部屋を出たと確認次第、あたしは懸念の色を表に出し、自分の谷間を睨み据える。


「…ただのパットなのに。
馬鹿みたい。」


ねぇ、クレド。


前にもこんな事、あったよね…?


今朝クレドから届いた手紙。
あたしはあれから、なんだかオカシイよ。
自分を…チョビコを保てなくなっちゃいそう…。


クレドの手紙を読んで、あたしはきっと心が揺らいで居るんだ。
昔の思い出なんか、思い出したりして、ネガティブになってるだけ。

あたしらしくもない。

あたしはチョビコで在り続けなきゃ、
いけない、のに…。


はっとして我に返り、自分の愚かさに些か絶望した。
そして機敏に思考回路を働かせ、肯定文を組んでみる。

自分の元から巣立ちした小鳥が
再び鳥籠の中に戻るなんて事、有り得ないって解かってるし。

そんな心の迷いなんて、すぐに消せばいい事だし。

チョビコなら、他愛もなく出来る範囲内だ。

クレドからの手紙なんて気にする事ない……。


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あきゅろす。
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