〜宛メメント 君… クレドはあの時、 只純粋に喜んだだけなのかも知れない。 微笑んだ顔は、薄暗がりで良く見えなかったけれど 腕から放されあたしの手を握ったクレドの手からは 熱い程の何かが溢れていたんだ。 あたしは素知らぬ振りをしていたけど。 地下室の階段を一段ずつ無言で上っている間、 あたしはクレドから握られている手をずっと見ていた。 不思議なモノがある気がしたから…。 「あ」 急に階段の出口で彼は立ち止まる。 ビクッとしてあたしは、視線の先を壁際に移した。 「お前のID何?」 「…チョビコ。」 振り向き際に垣間見たクレドを、あたしはやっとの事で知る。 そこには外の光で照らし出された君が居たんだ。 [←] [戻る] |