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メタルハート
カタ平原
―――…

一方、りゅあと葉月は照りつける日差しの中、葉月の邸宅を目指していた。

「…暑いね〜ぇ
てか葉月の家はどの辺なんだっけ?
メダと反対方向ってしか知らないんだけど…」

地理にうといのは自覚してるので、一応、聞いてみた。
多分、葉月がいなきゃ五分も持たない…と思う。

「今いるカタン村の端っこにあるのがシリウスね。
そっからカタンの繁華街を突っ切ってった外れにマシムシの森があるのよ。
その森の半分位はうちの敷地よ」

「ははは半分!?!?」

葉月の分かり易く簡潔な説明は、後半部分しか聞き取れなかった。
てか吃驚し過ぎて声が上擦ったし。

「言ってなかったっけ?」

「お嬢なのは知ってたけど…そこまでとはι」

恐るべし、木心流。
シリウスを出てから三十分程は経っただろうか…
所々に木が生えた平原の一本道をひたすら歩いている。

「因みにここいら一体は、カタ平原って呼ばれてるわ。」

「…ふーん。カタン村まではあとどの位なの?」

「もう少し。
…でも気をつけて。ここ、盗賊が出るらしいから」

「盗賊!?」

こんな何もなさそうな、だだっ広い場所で?ι
辺りを警戒して見渡すが、特に目に付く物は無い…。


一瞬、木々がざわめく風の音。

「!!……りゅあ!!」

いち早く気配を察知した葉月が、後方を振り返る。
あたしも只ならぬ気配を感じ、それにならった。

「…だ…かぁッ…
助け…」

遠く、草の生い茂る平原を走る少女が見える。
ここからは、ポニーテールの長い髪と大きなリュックを背負っている事しか確認出来ないが…
その少女の周りにはぼんやりと数人の人影が見える。

「あっ…りゅあ!!」

考えるよりも体が先に動いた。
少女が息を切らせてこちらに気付くと、安堵の表情を浮かべた。

背中に掲げた長剣を手に持ち変えながら少女に駆け寄る。

「大丈夫?!」

「…はぁ…あ…あれッ…」

息を切らしつつ、地面にへたり込んだ少女は、追っていた輩を指差して言う。

「たすけてっ…あんな大勢、一人じゃどうしようもなくてッ」

指差した方には、十人前後の黒い物達…
人とも獣ともつかない。
黒い、犬のような狼のような体付きなのだが二足歩行している。
目は獲物を捉えるかのように鋭く、吸血鬼並みに犬歯が長い。

「…こ これって…」

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あきゅろす。
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