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メタルハート
屋根
ガシャン…ッ…

不安定な足場で、嵐と女が激しくぶつかり合う。
時折、繰り出される剣筋が見えない程の速さで、金属音と互いの空を裂く音が響く。

二人が間合いを取った一瞬で考察出来るのは、彼らの剣の形状。
女の剣は細く、先端は鋭い針のようだ。
防御よりも攻撃の突きを得意とする形。
一方の嵐は、片手に軽々と持てるサイズだが、太くゴツい剣。
刀身はいぶし銀のような独特の風合いで、所々真珠のようなオーロラ色に光っている珍しい物だ。

これらから考えると、相手の隙を付いて懐に入りさえすれば嵐の方が有利に思えるが…

ガシャ…ンっ…!!

空中で勢いよく互いの剣が轟き合う!
ジリジリと互角の力を以てする鍔迫り合いは、離れて見ている葉月や維星でもハラハラする。

「…さっきから俺らの事つけてたのはお前か?」

そのままの体制で屋根に着地する寸前、間合いを取って後退した嵐が吐き捨てた。
かなりのスピードで技を繰り出した割には、ほんの少ししか息が上がっていない。

「ふふ…だとしたら何?
私は貴方に用があるのよ、嵐。」

くっと下唇を噛み締めた嵐は、女の皮肉めいた微笑を睨み据えた。

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