メタルハート
屋根
「維星…お前も下がってろ」
「…でも嵐、不意打ちするような奴にサシの必要ないよッ!!」
最もな意見で反論する維星を無言で素通りする嵐の横顔は、今まで見た事ない位険しいものだった。
腰に備わった片手剣を手に持ち変えながら、嵐は攻撃体制をとる。
「ちょ…銀に許可なし!?
ヤバいってそれ…」
「許可なんて後で取ればいいだろ…」
…ニャー
張り詰めた空気の中で、軒下にいる猫の鳴き声だけが鮮明に聴こえる。
相手の女の微動だにしない威圧のせいで、先程から葉月は冷や汗が止まらなかった。
こんな時に私は…
動けないりゅあを抱えながら、私、りゅあを守れるの…?
途方もない不安と悔しさだけが葉月の心臓を抉るように苦しめていた。
「…しょーがないなァ。
ボク繋いであげるから好きにしてよ…」
一人言にしては大声で助言する維星は、自分の端末を取り出し何やら操作し始める。
ピッという音を立てて端末が光るのを見ながら、維星は言った。
「…でもボクの責任じゃないからね!!」
「あぁ…これは俺の問題だから」
その瞬間、屋根の上で火花が散った。
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