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メタルハート
屋根
「維星っ…!!」

その光景に、葉月は動く事さえ出来なかった。

黒服を着込んだ誰かが目の前で剣を突きつけていて、
その剣を維星が自身の武器で受け止めていた。
まさに危機一髪!
維星が止めてくれなきゃ…私…頭をぶち抜かれていたかも知れない…

「…くっ
あんた何者ッ…!?」

手の甲に付けた鈎爪で相手の細身の剣を抑えている維星。
自然とそんな言葉が出たのは、この"誰か"がフードを被り顔を隠している為だ。
案外体にフィットした服のようで、胸の膨らみからすると女のようだが…

ジリジリと攻め寄る双方の緊張がピークになった頃、鍔迫り合いからようやく間合いをとる。
飛び上がって後退した場所で、相手は徐にフードを取った。
そこには、金髪の髪を二つに三つ編みにして眼鏡をした女。じっと、こちらを睨んでいる眼は血のように赤い。

「葉月ちゃん…この子を頼むよ」

いつもの笑顔よりも冷たい微笑を浮かべた嵐が、りゅあをそっと屋根の上に下ろした。
その微笑に恐怖さえ感じる葉月は、言われた通りにするしか、なす術はない。

「…えぇ」

二つ返事で言葉を交わした後、嵐は前方へと足を進めた。

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