メタルハート
屋根
夜の街アルランダは、中心通りから少しでも道に反れると袋小路や狭い裏道ばかりだ。
裏社会の者達がアジトや脱出ルートを作る為に、わざわざ蟻の巣状の道にしたらしい。
さながら迷路のような道なので、追っ手を巻くには都合がいい。
だが三人の先頭を行く嵐は、"道なき道"を走る。
「…ってちょっと!!
ここ屋根なんですけどッ!?」
ひょいっと軽快に人様の家の屋根に上る嵐と維星につられて、葉月も上ったはいいものの違和感に気付く。
二人は葉月の突っ込みに顔を見合わせただけだった。
「ボク達、これ普通なんだけどなぁ」
「…そんな!!これじゃ盗賊みたいじゃない!!」
「…ボク達、盗賊団なんたけど…表向きは」
「っはぁ!?!?」
たまらず大声で叫んだ葉月だったが、次の瞬間しまったと冷や汗が吹き出た。
りゅあを抱き抱えながら走っていた嵐が、ぴたりと動きを止めて睨んでいる。
…ま まずぃ??
「ご ごめんなさい、嵐。
あんた達が盗賊だなんて吃驚してその」
「!!…葉月ッ危ない!!」
「…え…」
背後にがしゃんという金属音が鳴り響き、振り返った時には驚愕した。
<←*><#→>
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!