メタルハート
アンタレス
「兎に角…"エデン"の女がこっちに向かっている以上、アンタレスに協力して貰わないとな。」
天井を見つめ煙草をふかした銀は、「厄介だ」と繰り返しながらぼやいた。
「あ"ー説明はお前に任せるから。
俺そーゆーの苦手」
銀の一人芝居にくすくすと笑いを漏らす雷は、相変わらずキーボードを操作しながら言った。
「どこまで話すの?
――"ラスタ"の事も?」
空気が、一瞬で冷え切った。
雷の問いに眉尻をピクッと吊り上げた銀の眼孔が、獲物を狙う獣のように鋭くなる。
その単語は禁句とでもいうように、銀は空を睨みつけていた。
「…まだだ。
シエスタの事もまだ告げるな。」
深い沈黙の後、ようやく口に出来たのは否定だけだ。
――危ない。
影の情報では彼女達はまだまだ弱いと聞く。
いずれ言うにしても、時は今ではないだろう…
「了解。ってか賛成。
何だかこっちもヤバい事になってるし」
そうサラリと言う雷は、銀が悩んでいる間も振り向きもせずパソコンにかじりついていた。
新種の生物のように休みなくキーを弾く指。
珍しいな…と銀が違和感を感じる頃、雷の童顔は青ざめていた。
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