メタルハート
アンタレス
―――同刻
「…厄介な事になってきたな、こりゃ…」
銀は煙草の煙を燻らせながら、赤い髪をかきあげた。
何枚もの束になって塔の如くデスクに積み上げられた情報資料を、片手でペラペラと捲りながら深い溜め息を吐く。
「そっちはどーよ?雷」
薄暗い部屋には、銀のデスクに置かれた卓上ランプと壁側に置かれた箱型の電光灯り…パソコンだけ。
よく見ればそのパソコンは一台だけではなく大小様々なタイプの物もあり、何に使うのか解らないような機械まで幾つかある。
千年前の産物である電子機械が…。
「…厄介?
それ、面白いの間違いじゃないの、銀?」
唯一電源の入ったパソコンの前で、イスをくるっと半回転させながら、雷<ライ>は言った。
短めにカットされた金髪をカチューシャでまとめた少年のような童顔。
緑色の眼と、そのカチューシャから何本も伸びた長い電子コードが特徴的だ。
銀が軽く睨むと、雷は冗談っぽく手を振りまたパソコンに向かった。
「非合理にネットワークにハッキングするのは飽きたんだけどな僕…」
ブツブツと文句を言いながらキーボードを弾いた。
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