メタルハート
アルランダ
維星の言葉は葉月に向けられたものだったが、自分にまで言われている気がした。
――忘れられなきゃ、思い出さなきゃいい。
蓋をすればいいだけの事。
必死に自分に言い聞かせ、青ざめた顔に笑みを取り戻そうとした。
…大丈夫
あの事件を知るのは銀だけだ。
傍らでは猫のようににんまりと笑う維星が、葉月に手を差し出していた。
「さっ行こうよ!
モヤモヤは早く解決するのみッ!!」
維星の言葉は純粋に当たり前の事を諭すだけなのだが説得力がある。
維星の真っ直ぐな瞳のせいだ。
だがそれは、俺がどれだけ"普通と違うか"を見せ付ける。
「…そうね」
肩の荷が下りたような、安堵の表情に代わる葉月。
維星の手を取り立ち上がる。
「…嵐、もう暫くりゅあを宜しくね?」
はにかみながら笑う葉月は、どうやら少しは迷いが吹っ切れたみたいだ。
ふーっと吐息を漏らす。
…そう
君なら俺をどう思うだろうか
俺は"エデン"の少女――りゅあを再度抱き上げ、走り出した。
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