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メタルハート
エデン

―――…

最初は、怖かった。
見渡しても闇ばかりの見知らぬ空間で。

でも、何故か、
独りではないと感じたの。


なんだか懐かしくて落ち着く…

この感覚は、ずっと昔から知っているの。

君と出逢ったあの日から
私はいつも君に助けてもらった。

誰よりも
君を信じているし、
安心できるんだ…


だから
君がこの暗闇の中に現れた時
不思議とそれは君なんだって、受け入れられた。


『…俺のりゅあ
俺がお前に力を貸すのは、何故だと思う?』

暗闇の中、りゅあを見据えて紫流は問うた。

ここは"エデン"。
自身の武器に宿る武聖霊、又は石精霊に逢う場所――

確かに紫流はそう言った。
つまり、現実には存在しない空間…みたいなものなのかな…

紫流の長い青髪が、時折キラキラと輝く。
りゅあの肩に添えた手は程良く冷たくて心地良い。

「紫流…何が言いたいの?」

紫流の言葉の意味が解らないが、それでも彼は真剣な眼差しで問うので下手な事は言いたくなかった。

困惑気味のりゅあを見て、紫流はその頭をくしゃっと撫でながら微笑を浮かべた。

『…初めて、お前と俺が出逢った日。
武器は使い手を選ぶ…俺がお前を選んだのだ。
お前と俺は、同じ匂いがした…
しかしそれには理由がある』

紫流は静かな声で語り出した。
耳元に微かに残る、エコーがかった低い声。
りゅあは黙って耳を預けた。

『お前の先天的能力…すなわち属性が、俺と同じだから惹かれ合うのだ』

「属性?何それ?」

紫流の流暢な難語にしびれを切らした。
だが紫流はそんな彼女に嫌な顔一つせず相変わらずの微笑を浮かべる。

その深い青い瞳で見つめられたら大概の女の子は悩殺されるだろう。
そんな光景を思い浮かべて、りゅあは知らず知らずの内に頬を赤らめていた。

『属性というのは、生まれついた時より持つ性質の事だ。
俺はこの通り、"水"が自身の属性だ。
そして俺のりゅあ…
お前も"水"…』

そこまで言うと紫流は目を細めた。
そしてまた再び、真正面からりゅあを抱き締める。

「きゃっ!!紫流…///」

この聖霊は抱き癖でもあるのだろうか…?
りゅあの抵抗も虚しく、紫流は耳元で囁いた。

『…俺のりゅあ
お前の中には"水"とはまた違う属性が眠っているようだ…』

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