メタルハート
酒場シリウス
「たのもーッ!!!!」
ドアを開けるなりいきなり大声を出す少女。
「えーっと
ここに剣士と格闘家の二人組ッ!
いるんでしょ!隠れてないで表に出なッ!」
つかつかと店の奥へと進み寄る少女は、小柄で可愛い容姿をしているのにも関わらず真逆な言葉使いを発した。
くるんっと外ハネした短めの茶髪に、緑色の眼。
茶色のチューブトップにミニスカート。
頭にしたゴーグルも印象的だ。
「…皆、無視!?
ボク…怒っちゃうよ!?」
無視したと言うよりも、呆気にとられたと言う方が正しいだろう。
少女は地団太を踏みながら喚き散らした。
「…おい。
維星、お前何でここにいるの」
溜め息を吐きながら、先に声を上げたのは嵐だった。
その声を聞き、ビクッとしたのは維星と呼ばれた少女の方で…
「あ 嵐ッ!
お疲れ様でぇ〜す。
じゃボクはこれで…」
そそくさと逃げ腰になる少女の変貌ぶりを目の当たりにした永遠と葉月は、更に状況が飲み込めないではいるが少し笑えた。
が、逃げ足になる維星を嵐が許す筈はなかった。
「待て維星。
お前、怪我して寝込んでたんじゃないの?」
りゅあを抱きかかえている為、嵐は声だけで維星を制止させると、彼女はまたビクッと体を震わせた。
「け 怪我はもう大丈夫だもん!
銀が心配症なだけで…ッ」
おろおろと挙動不審になりながらも、必死の言い訳をする維星に、嵐はまた溜め息を吐いた。
「丁度いい。
これからアジトに戻るから、お前も同行な?」
「…えぇ〜」
「お前が狙ってた二人組、この通りだし。」
後方にいる葉月と腕の中にいるりゅあを交互に見やり、維星に念を押す。
「この子達、目標じゃないし。
解ったなら、返事は?」
「…はぃ」
まるで幼子をしつけるように嵐は手際良く話を進めると、永遠を振り返った。
「騒がしくてすみません、マスター。
こいつも一味の仲間で…」
永遠に向かって一礼すると、嵐は続け様に早口になる。
「この状況なんで…
事は一刻を争います。
彼女を安全な場所に移す為にも、アジトへ向かおうかと…」
気絶しぐたりとしたりゅあを見やりながら、嵐は言った。
永遠は暫く考え込んだが、意を決すると深く頷いた。
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