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メタルハート
酒場シリウス
―――…

一方、葉月と永遠は、りゅあが突然倒れ気を失ったので大騒ぎしていた。

「りゅあ〜ッ!!!」

椅子もろとも床に転がったりゅあの体を抱え上げ、葉月は大声で揺さぶる。

「おかしいわ…目は開いているんだけど…」

普通に気を失った場合と比べ、明らかに違う事…
それは目が虚ろで開いている事だ。

「どうしよう…
メディスに看て貰った方がいいのかしら…」

メディスというのは医者の事。
しかし実際に手術したりするのではなく氣を使って看る医者だ。
薬や注射は怪我の時には有効なのだが、内臓疾患の場合は氣で治すのだ。
言わば気功師のようなもの。

わたわたと焦りを隠せない葉月に対して、相変わらず腕組みをしたまま考え込む永遠がようやく口を開いた。

「いや…待って葉月。
この症状は…」

「…マスター」

言いかけて、側から制止された。
永遠の事をマスターと呼ぶ声の元には、一人の青年。
カウンターの傍らでカクテルを飲んでいた彼は、徐に立ち上がりこちらに近付く。

倒れたりゅあを見ると、すぐさま現状を把握した風だった。

「君は…アンタレスの嵐君…」

永遠が朧気に思い出した名前は、嵐<アラシ>。
程良く伸ばされた焦茶色の髪に、灰色の眼。
フードのついた革製の青いタンクトップに、だぼっとしたベージュのワークパンツを着ている。

半泣きだった葉月が半ば見とれる程の美青年だ。

「この子の武器は?
見せて」

低いけれど耳に心地いい声に少し酔いながら、りゅあの剣を差し出す。

「は はい…何なの?
何かわかるの?」

黙っていられない葉月は身を乗り出しながら、嵐のする事に見入った。

嵐は、差し出された剣を鞘から抜き出し凝視した。
りゅあの剣…紫流はほの青い光を点滅するように光っている。

「やはり…
これはエデンだよ、マスター。」

そう言いながら、嵐は剣を鞘に戻すと、葉月が抱え上げていたりゅあをひょいっと持ち上げる。
いとも簡単に持ち上げる腕からは重みを感じさせない。

「やっぱりエデンか…」

永遠も呟いた。

床にへたり込んだままの葉月は状況が飲み込めないでいた。

「エデン!?
何なの?それ…」

永遠と嵐にくってかかる葉月を、なだめようと口を開こうとしたその時、

シリウスのドアがカランと鳴った。

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あきゅろす。
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