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メタルハート
エデン

―――…

薄暗い部屋の中に、ぼんやりと青く淡い光。

りゅあは一人掛けの椅子に腰掛けていた。

『…りゅあ
俺のりゅあ。目を覚ませ』

どこからともなく聴こえる声は、懐かしく温かいものだ。
そう思いながら、意識をハッキリさせると、目の前に浮かぶ青い光がりゅあに語りかけていた。

『…俺のりゅあ
俺が誰だかわかるか?』

青い光はりゅあの傍に近づき、包み込む。
この感じ、知ってるよ。
懐かしくて心地いい…
そう、これは…

「紫流…?」

呟いた瞬間、青い光はりゅあの剣―紫流に姿を代えた。

『…正解。
やはり俺のりゅあ。
俺はりゅあの剣、紫流…』

剣の姿になってもぼんやりと青い光を纏う紫流は神秘的だ。
が、そこまで話すと紫流は人型に姿を代えたのだ。

青い長髪の青い目。黒いコート服を着た青年の姿…
彼は微笑んで、椅子に座るりゅあを両腕で抱いた。

「し 紫流!?」

『…俺のりゅあ
お前に危険が迫る時、俺はこうして現れる。』

あまりの突然の抱擁にどぎまぎしたが、心音は高鳴らない。
寧ろ懐かしく、心地いいのだ。

紫流はいつも傍にいたのだから。

『俺とお前は一心同体そのもの。
俺の腕の中が心地いいに決まっているだろ?』

りゅあの考えている事を紫流は見通していた。
恥ずかしながらも、自分を理解してくれる存在がいる事に嬉しくなる。

「紫流…ここはどこなの?
真っ暗だけど…」

紫流の腕に抱かれたまま、疑問を投げた。

『ここは、"エデン"と呼ばれている。
俺達のような武器に宿る聖霊、そして石に宿る精霊と逢う場所。』

エデン…
真っ暗闇で怖い…
でも紫流がいるから落ち着く。

『以前お前は、石精霊と逢っただろう?』

そう言えば。
愛奈からアクセサリーを見せてもらった時も、こんな感じだったっけ。

「あの人があのリボンの精霊さんなの?」

『そうだ。
石精霊よりも、俺達武器の聖霊の方が強い氣を持つんだが…』

そこまで話すと紫流は、りゅあを包んでいた腕を離し肩に置いた。
暫くの沈黙の後、紫流は微笑んで語り出した。

『…俺のりゅあ
お前に危険が迫っている。
話を聴いてくれるか?』

真剣な眼差しを向ける紫流に、りゅあはコクンと頷いた。

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