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メタルハート
酒場シリウス
―――…

「…なる程ね。結局これといった手掛かりナシか。
でもりゅあは災難だったね」

一方、りゅあと葉月の二人組は永遠のもとに来ていた。
昼食時で混み合う店内のカウンターに腰掛け、永遠の手が空く時を見計らって経緯を説明した。

「まぁ大した怪我じゃなかったし」

カレーライスを頬張りながら、りゅあは苦笑い。
隣では冷中華をすする葉月が、ごめんね…と呟いている。

あれからメダで思う存分買い物をし、宿屋で一夜を過ごした二人は、早朝に出発、今に至る。
結局、葉月の言うフォーリン・ロマンティカの意味も分からず買い物に付き合ったりゅあであった。

「一度整理してみましょ。
何か腑に落ちないのよね」

葉月は錦糸卵をつつきながら、渋そうな表情を浮かべた。

「え?何が?」

銀色のスプーンを口にくわえたまま、りゅあは声を上げた。
亜人の異変の原因を突きとめるんだと意気込んだ矢先、葉月にそんな事を言われ水をさされたからだ。

「考えてもみなさいよ。
確かに朝霞はメダに行ったわ。
でもカタ平原の狼男はどう説明できるの?
奴らは普段、山の僻地でひっそり生活してるのよ?」

確かに、そうだ。
人間に危害を加えるのを恐れている彼らは、自給自足の生活をしていると聞く。
果たしてメダの街に行くだろうか?
しかもあんなに大勢で。

「一概に、メダの街が原因じゃないって事か…」

相変わらず忙しくフライパンをふる永遠も、黙っていられないのか話に割り込む。

「うん確かにおかしい。
朝霞とあの狼男の豹変ぶりが偶然とも思えないもん…」

りゅあも葉月の意見を渋々と肯定するしかなかった。
益々この問題の深みにハマっていく気がして、スッキリしない。

「あの老人が言ってた事も気になるわ。
…問題の原因はつかめないけど、繋がりはできる。
そんな解釈でオーケーよね?」

「うん…」

「それでっ!
いい人に出逢えるのよねっ!」

「うん…ってそこ!?」

思わず葉月に突っ込みをいれる自分が悲しい。
八方塞がりのこの状況、こんなにお気楽安易でいいのだろうか…?

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あきゅろす。
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